疋田智氏のメルマガ一覧(282~298号) 自転車の歩道解禁問題(6)

例の、自転車歩道解禁問題、シンポジウムや、パブコメ提出、いろいろありましたが、疋田智氏もその間、相当な数のメルマガを出されています。

再度、整理を兼ねて一覧を作ってみました。12月25日から2月8日の分です。一見、法案関連ではないような、タイトルの号もありますが、本文にはいずれも関連した記事がございます。

※270号から281号までは、こちらに一覧を作っています。
http://yassiblog.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_5dee.html

[12月25日]
【例の法案】大盛況!日比谷ミーティングの282号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3479858/

[12月28日]
【例の法案】基本を一度振り返る、の283号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3484446/

[12月29日]
めでたいのかめでたくないのかよく分からない284号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3485492/

[12月31日]
【例の法案】試案のからくりが見えてきた、の285号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3486920/

[1月3日]
【謹賀新年】パブコメはこう書く!(疋田案)の286号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3489370/
【謹賀新年】の追加の286.2号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3489408/

[1月7日]
「ボディスーツに裸の絵」の287号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3493449/

[1月13日]
【例の法案】押せ!押せ!の288号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3500912/
【例の法案】あ、一部間違い、訂正、の288.2号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3500941/

[1月17日]
恐怖の「糖尿病」の289号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3507442/

[1月22日]
東知事誕生のもう一つの理由……(かな?)の290号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3514043/

[1月23日]
【例の法案】「警察側の弁明」の291号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3515362/

[1月26日]
【速報】警察側が軟化し始めた?の292号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3519719/

[1月27日]
【例の法案】パブコメの〆切だ!の293号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3521394/

[2月2日]
あまりにもメタボな……の294号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3530496/

[2月3日]
【速報】エラい!警察庁!の295号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3531593/

[2月4日]
【例の法案】朗報から一夜明けて……の296号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3532764/

[2月6日]
【例の法案】明日の夕刻以降……の297号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3536080/

[2月7日]
【速報】警察庁はホントにパンドラの箱を開けていた、の298号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3537884/

減らぬアーケード街を走る自転車 自転車の歩道通行解禁問題(5)

自転車の歩道解禁問題についての話題、前回よりもだいぶ間があいてしまった。まだまだ、書きたい続編はあるのだ。

1978年の道交法改正により、正式に「自転車が歩道を走るも可」の歩道が出現し、全国に増殖したのは、周知の通りだ。(一応、そういう前提で話を進める)

結果、通行可いかんに関わらず、ほとんどの自転車は闇雲に歩道を走ることが定着した。

自転車通行可の歩道の範囲が、明確でないという法制度上の曖昧さに加わり、警察も自治体(放置自転車問題は例外だが)も自転車についてはまともに取り合ってこなかった。その帰結として、制度上も交通手段としても中途半端な位置づけになってしまい、ユーザー側も車両感覚が欠如してしまった。

要するに、「自転車が道路を走ることがあまり意識されていない」わけだ。

そんな中でも、数少ないが自転車の走行についてはっきりと法制度上定めらている道路が存在する。おおまかに分けて以下の3つだ。

(1) 自転車道

(2) 高速自動車国道、自動車専用道路など

(3) アーケード街などの歩行者専用道路

まず、(1)は、歩道とも車道とも明確に分離された自転車道、すなわち「自転車専用レーン」のことだ。ここでは、道交法で「自転車道を走るべし」と明確に定められている。

第六十三条の三  車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する二輪又は三輪の自転車で、他の車両を牽引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場 合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。
   (罰則 第百二十一条第一項第五号)

しかし、このような自転車レーンが設置されている道路はほとんどないに等しい(歩道上でペイント等で分離したものを時折みかけるがこれは自転車道ではなく、ただの歩道に過ぎない)ので、今回は割愛する。

(2)は、普通そんなところに自転車で進入しないなあ。たまに、迷い込むことがあるらしいが。これも、割愛する。

(3)が、本題だ。県庁所在地クラス以上の都市では、繁華街はアーケード街になっているか、そうでない場合でも歩行者専用道になっていると思う。

そういうところでは「原則自転車通行禁止」であり、道路交通法にも明確に定められている。

これを取り上げたわけは、警察・行政ともにほとんど野放しな自転車通行について、例外的にかなり強く意識している部類ではないかと考えられるからだ。少なくとも周知徹底を図ろうとは一応は努力していると思う。

だが、しかしだ。それが、利用者もしっかりと遵守しているかどうかは話は別だ。現状は、以下の写真の通りだ。

写真のアーケード街は、高知市の帯屋町商店街である。(空洞化が進んだとはいえ)高知県内では、最大の繁華街だ。

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このように、みな平気で自転車に乗ったまま通行している。

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並走も日常茶飯事。

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上の写真のように、しっかりと「自転車はおりてください 高知警察署」と看板が掲げられている。

さらに、時々放送で「自転車のアーケード内走行はやめましょう」と耳にタコができるくらい流れる。

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しっかりと標識でも、歩行者専用だと明示されている。ただし、午前6時から11時までは荷卸しのための貨物車はOK、午後7時から午前11時にかけては自転車もOKとなっている。すなわち、

  「午前11時から午後7時までは自転車通行禁止」

である。上の写真2枚は、いずれもその時間帯に撮影したものだ。なので、明確に違反である。警察に赤切符を切られたら文句は一切言えない。

このように、周知徹底を図ろうとしているのだが、一向になくならない。むしろ降りて押す人の方が少ないような気がするくらいだ。

高知市交通安全課の担当者のお話では、「市職員や警察が立っちょると多くの人はあわてて降りて押す。自分が悪いことしゆうと言う自覚はあるがやろう。中には強情にも従わん人もおるが。」と、おっしゃっていました。

  「注意されたら降りればいい。注意されるだけで済むし。」

多くの人は、そう思っているのではないだろうか。

この問題を、例の自転車歩道解禁問題と関連させているわけは、これも自転車を歩道に上げて過保護かつ自由奔放な立場におかれた結果の一つだと考えているからだ。自転車利用者に、車両という意識を欠きルールやマナーを守らない態度が醸成された帰結である。

また、実質すべての歩道は自転車通行可となった結果、その延長上で「アーケードも別に走ってかまわんだろう。罰金とられることもないし。」となってしまったのではないだろうか。

自転車の歩道通行可は、歩行者にとって安心して歩ける空間を奪い、現制度でも歩行者の聖域であるはずの空間まで奪った。

私は、提案する。

自転車の取り締まりはまずアーケード街の通行から徹底して取り締まってほしい。昨年ごろから、自転車にも赤切符を切るなど取り締まりを強化しているようだが、いささか見せしめ的な感じがするし、それほどマナーが改善されているとも思えない。アーケード街の件は、多くの人々は違反であることは知っているので(あれだけキャンペーンやっているからね)理解が得やすいと思うし、何より範囲が狭いので取り締まり指導を徹底しやすい。取り締まりも注意にとどめず、しっかり反則金(自動車が青切符なのにいきなり赤切符というのは納得できない)を徴収し厳重警告すべきである。もうこれ以上、甘やかすべきではない。ロンドンでは、歩道を走ったら問答無用で罰金を徴収される。いきなりも何なので、まずは「○月○日よりは、違反者は問答無用で厳重に処罰する」と、周知徹底をはかるような段階はあってもいい。そうすることで、「自転車にだって明確に守らなければならないルールがある」という意識を利用者に浸透させていくことでき、マナーの大幅な改善につながる。無灯火や2人乗りなどを、単発的に取り締まるよりも、間違いなくまわりまわって大きな効果が出る。

少なくとも、この記事を読んだ方々だけでも、今すぐアーケード等では指定時間内でいいから自転車は押して通行するようにして欲しいと願う。

あと、他の都市での状況、知っていたらコメント等で教えていただきたい。

疋田智氏のメルマガ一覧(270~281号) 自転車の歩道解禁問題(4)

警察庁の自転車対策検討懇談会による、自転車歩道解禁問題。

自転車ツーキニストの疋田さんも、多くのメルマガを出されています。ここで、整理も兼ねて12月1日から12月20日まで出されたメルマガ一覧のリンクを作成しました。

いろいろと問題の経過が分かるかも。是非、参考にしてください。

[12月1日]
【緊急】幽霊が幽霊でなくなった270号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3447937/

[12月4日]
【続報】真面目に憂慮すべき271号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3451197/
【さらなる続報】なんと姑息な272号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3452066/

[12月6日]
【まだまだ続報】そもそも歩道通行こそが危険な273号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3454187/
そうそう忘れてた、の273号の2
http://www.melma.com/backnumber_16703_3454206/

[12月7日]
【もっと続報】事態は危機的な274号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3454995/

[12月8日]
【さらに続報】反論の方向性の275号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3456909/
275号の訂正
http://www.melma.com/backnumber_16703_3457237/

[12月11日]
【まだまだ続報】警察の思惑はここにある276号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3460842/

[12月12日]
センセイたちを動かそうの277号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3462719/

[12月15日]
【例の法案】動こう!の278号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3466850/

[12月16日]
【例の法案】出番だ!民主党!の279号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3468220/

[12月18日]
【例の法案】「悪の大魔王」が画策してきたこと、の280号
http://www.melma.com/backnumber_16703_3470904/

[12月20日]
【例の法案】色々連絡事項の281号

http://www.melma.com/backnumber_16703_3473365/

全国歩道連絡会・日比谷ミーティングの報告 自転車の歩道通行解禁問題(3)

先月30日に、警察庁から公にされた例の「自転車の歩道通行を認可する」提言書。これが、実は歩行者の権利を一層脅かすものであり、自転車にとっても何のメリットもなく、環境という観点からも大きな後退であることは、関係者の間では十分認識されている問題だ。

ただ、今のところさわいでいるのは関係者だけなんだがね・・・・・・。それでも、動かないことには、まんまとトンデモ法案が国会を通過してしまうので、やれるだけのことはやって、今後、自転車活用の進展の足掛かりにもしようということで、かなり真剣に動き始めているのだ。

そんな中、創設されたのが、

【安心して歩ける歩道/安全な自転車道/渋滞のない車道を実現する全国連絡会(略称:全国歩道連絡会)】

これは、NPO法人自転車活用推進研究会が、自転車の歩道通行拡大に反対する声を国会に届けるために、急遽創設された協議会だ。

昨日12月22日には、日比谷公園内のグリーンサロンでキックオフミーティングが開催された。開催時間は、午後6時30分から8時30分まで。

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私は、会場には午後6時45分ごろついたが、すでに多くの人が集まっていた。ざっと、200人は超えているかな。後から行ったので座ることはできず、始終立ち見。

内容は、まあ関係者の弁論大会といったところだった。いかに例の法改正案がまずいのかということを、多くの人に知っていただきたいという趣旨の内容であった。

驚いたのが、マスコミ関係者が多数きていること。テレビ取材も数局来ていた。

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当然ながら、疋田智氏も来ていた。

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NPO自転車活用推進研究会の事務局長、小林成基氏。主に司会をされていた。

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「ダーティペア」「クラッシャージョウ」などで有名な、カリスマSF作家、あの高千穂遙氏も来ていた。自転車(しかも最上級クラスのロードバイクを使って)で、大幅なダイエットにも成功し、さらに自転車にのめり込んでいったとか。関連著書には、『自転車で痩せた人』、『じてんしゃ日記』など。熱い熱い語り口調だった。

【TAKACHIHO NOTES】  高千穂氏のウェブサイト。
http://www.takachiho-haruka.com/

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NPO自転車活用推進研究会、副理事長の石田久雄氏。

スライドに写っているのは、大分市の自転車レーンの社会実験の模様。車道を一方通行にして、両側にレーンを設けたもの。自転車利用者にとっては大変好評であり、自動車の渋滞などもなく結果は成功だったらしいが、周辺住民のわずか数名が反対したために数日で廃止になってしまったとのこと。残念な話だ。

他にも、様々な方がいろいろと喋りました。中には、現役メッセンジャーの方や京都からいらしゃった方まで。
どなたかおっしゃった「ドイツでも黙っていて自転車レーンが増えたわけではありません。サイクリストが動いたからです。」 には大きく揺さぶられた。日本でも、我々こそが動いていかなければ現状を打破することはまずできないということを、身にしみて感じられた。

ミーティングが終了すると、新橋方面へ飲み会に。

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宴席で熱弁する疋田さん。疋田さんは「法案提出までは、もう3ヶ月もない。閣議決定までは、もっと時間がない。とにかく今出来ることは、警察庁に法案提出をあきらめさせることしかない。そのためには、(改正案提出は)時期尚早であると官僚に認識してもらうしかない。多くの人が反対している、疑問に思っていることを知らせて、思いとどまってもらうのが近道だ。」と、おっしゃっていた。

本当に、限られた時間の中で法案提出を阻止しなければならない。全く猶予はないのだ。悠長に、自転車の認識を高めていくなどと言う余裕はない!

そのためにも、NPO自転車活用推進研究会は、1月中にも「自転車 DO! カフェ in つくば」を開催することを計画中。たぶん、準備のため1月末になるだろうが。

最後に、気をつけなければならないことを一点。

   自転車の権利を声高に主張しないこと

これをやると多くの人の賛同は得られない。
逆に、「また、自転車乗りのやつが自分の権利を守るがべく騒いでいるぜ。」と、ひいてしまう。間違いなく。自転車が車道を走る権利があると言っても、多くのママチャリ乗りや自転車にあまり乗らない人々は、「自転車は歩道を走るもの」と思っている。そのため、認識のズレからか「趣味人が騒いでいる。自分には関係ないな。それどころか、ウザイ!!」なんて思われかねない。
これだけは避けねばならない。

主張するにあたっては、歩行者の権利を守ることをまず念頭におくべきだ。あくまでも、歩行者が、安全に安心して歩ける歩道にしなければならない。すなわち、障害者、老人、子供などをはじめとしての、交通弱者たる歩行者の権利を重視しなければならない。繁華街などでは自転車にビクビクしながら歩かなければならない歩道は、本来の姿ではないということだ。

歩道を安全にするという観点からアプローチしなければならない自転車といえども、人を傷つけうる道具を扱う以上、制限されるべきところは当然あるのだ。

それにしても、ミーティングに全然若い人が来てなかったなぁ・・・・。たぶん、私が一番若い参加者だったかもしれない。自転車に関心ある人の中心は、40代男性らしい。若い人がいないことについて、前でちょっと喋ろうかと思ってもいたが・・・・・。

これからも、火付け役として輪を広げていけるよう、一緒に頑張っていきましょう!
多くの人に、共鳴するためにも。

<自転車活用推進研究会>
http://www.cyclists.jp/

<歩道認可に反対するチラシ>
表:http://www.cyclists.jp/images/index_pamphlet_a.gif
裏:http://www.cyclists.jp/images/index_pamphlet_b.gif

自転車が歩道に上がった日 自転車の歩道通行解禁問題(2)

11月30日に発表された、警察庁の「自転車の歩道走行を正式に認可」するという提言が、実は、自転車を車道から締め出すことを狙ったものであるということで、色々とかなり大騒ぎになっている。もう、あまりにも馬鹿げた改正案なので。

法案提出は、2月。阻止するのは、ほとんど絶望的。しかし、「あ、そうですか」と、だまっているわけにはいかないので、関係者はアクションを起こし始めているところだ。

今回は、過去の道路交通法改正による自転車の歩道走行を限定的・暫定的(現実にはそっちがスタンダードになってしまったようだが、当時はあくまでもそうだったのでそう書いておく)に認めたのが、果たして交通事故の減少に貢献したかを中心に書いていく。

自転車は、歩行者の仲間か?それとも車両の仲間?それで、本来どこを走るべきか?

これについては、勘違いしている人も結構いると思うので、最初に簡単に説明しよう。お堅い話ではあるが、避けて通れないので。

自転車は、道路交通法では、軽車両というれっきとした車両だ。(第2条の第8項及び第11項参照) そして、第17条第1項では、歩道と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない、また、第4項では、道路の左端を通行しなければならない、となっている。

ただ、例外措置として、第63条第4項で、「普通自転車は、第17条第1項の規定にかかわらず、道路標識等により通行することができるとされている歩道を通行することができる」と定められている。
その場合は、歩道の中央部分から車道寄りの部分を徐行の上、歩行者の通行を妨げるときは、一時停止しなければならない、とある。
現行法では、あくまでも歩行者最優先である。

よって、

    自転車は、車両の仲間であり、車道を走るのが原則である。

決して、自転車は歩行者ではない。歩道は、むしろ例外で間借りして走らせてもらっているにすぎなく、本当は、歩行者に遠慮しながら走らねばならない。歩道上如何にかかわらず、歩行者に向けてベルを鳴らし、蹴散らすのは言語道断だ。

自転車が、当たり前に歩道を走っているのは、実は先進諸国では日本だけだ。それは、欧米諸国の人々から見れば、野蛮で不思議な光景に見えるらしい。

いったい、いつから自転車が歩道を走るものになっていったのか?

1.初めて、自転車が歩道通行可となったのは、昭和45年(1970年)

道路交通法第17条第3項において、「二輪の自転車は、第17条第1項の規定にかかわらず、道路標識等により通行ができるとされている歩道を通行することができる」と規定された。

ただ、この改正では、自転車が歩道を走ることができるのは、本当にごくごく例外中の例外で、「歩道が非常に広くかつ歩行者の通行量も少なく、支障がない場合」に限られていた。

また、この年には、道路構造令も改正された。従前は、自転車通行の用に供する「緩速車道」の規定が置かれていたにすぎなかったが、この改正で自転車交通を自動車交通から分離する観点が取り入れられた。

この改正では「自転車は車道を走るのが原則」というのは、名実ともに覆らなかったようだ。通行可の歩道もごくごく例外中の例外でほとんど存在しなかったのであろう。

そして、現在に至るまでに、

2.「自転車は歩道を走るもの」というものにしてしまった、悪名高い昭和53年(1978年)の改正

同年4月と5月にかけて、両院の本会議で全会一致で可決、同年12月に施行された。

あの、第63条第4項が定められた現在までずっと自転車の位置づけを歪められてきた、運命の時である。

この改正では、普通自転車の定義、歩道上での通行方法、交差点での通行方法、横断方法などが細かく規定された。それは、自転車の歩道走行をより推進する方向に向いた。

改正のきっかけは、激増する交通事故が背景にあった。自動車と自転車との事故も深刻なものとなっていた。本当に、苦渋の決断であって仕方なく歩道に上げたという感が強い。当時は、自転車を歩道に上げざるを得ないことのマズさを認識していたようだ。

「これは自転車が増えてしまったので、あくまでも緊急避難対策です。落ち着いたら本建築に入らなければならない。」

「歩道に自転車を上げるというのは、歩行者へのしわ寄せによって、問題を解決するという考え方だ。いつまでも続けていいやり方では、絶対にあるまい。」

「歩道の上に自転車を上げなきゃならないというのは道路のまさに日本的な欠陥です。」

当時は、警察庁も至極まっとうな考え方をしていたようで、これからも「本当はマズいんだけど・・・・」という姿勢がうかがえる。

で、その後、現在までに至るまで、この当時より全くといっていいほど進展していないのは、現状の通りだ。暫定措置であったはずの自転車の歩道通行を30年近くも放置しており、既存道路の改良をしないばかりか、その後に新設された道路すら自転車の歩道走行を前提としているというのが現実。これは、また近く別の機会に詳しく述べる。これこそが、私の最大の問題意識なんで。

さて、この改正で、自転車を歩道に上げたのは果たして成功だったのだろうか?その一端は、これから示す2つのデータが物語っている。

下の表は、自転車乗車中の交通事故死者数と、交通事故全体の死者数の中での構成率の推移である。

Photo_1

下のグラフは、上の表をグラフ化したもの。

Photo_2

確かに、法改正施行前後の昭和53年と54年を比べると、死者数は1113人から1005人へ1割ほど減少、その構成率も12.7%から11.9%へと若干減少した

施行直後は、一応は効果があったらしく、これが警察庁の自転車を歩道に上げることの自信につながったようだ。しかし、これはごく短期間の効果しかなく、構成率は、この27年というもの、10~12%で推移しておりほとんど変化していない。

この時点で、すでに自転車を歩道に上げて成功だったとは到底言えない。

次に、自転車対歩行者の事故件数について見ていこう。

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グラフにすると、下のようになる。

Photo_4

なぜか、’99年から’00年にかけて激増している。801件から1827件と2倍以上の増加。それは、統計の方法が変わったと考えるのが自然だろうが、いずれにせよ年々増加している。もともと、1500件クラスの事故件数があっただろう。

「この10年で、いったい何が起こったか?」と、思わざるを得ないくらいの激増ぶりで、どちらも(統計手法が変わった可能性があるとはいえ)約5倍に膨れ上がっている。本当に何が起こったんだ?

クルマに巻き込まれて死亡(負傷ではないことに注意)する事故は減っているが、他方で、歩行者に危害を加える事故が増えている。

これから考えても、自転車を歩道に上げて事故を減らすというのが、いかに論理矛盾しているのかお分かりだろう。むしろ、さらに事態は深刻化するだろう。

要するに、警察庁は、

歩道上で歩行者との事故が増えているにも関わらず、自転車を歩道に上げることによって事故を減らそうとしているわけである。

どう考えても、納得できない。もし、明確な根拠があるならしっかりと説明してほしい。少なくとも、こうすることによって、歩行者との事故以上に自動車との事故が減るという根拠でもあれば、それを納得できる形で示してほしい。

こんな意味不明な改正案を絶対に通してはならない!!

マジでやばいぞ! 自転車の歩道通行を認可? 

11月30日の正午ごろYahoo!ニュースを見ると、こんな記事が目に留まった。

《自転車の歩道通行解禁へ 子供運転や危険車道に限定》

私も、自転車に関連した都市問題を研究しており、また、自転車利用者かつ愛好者であるので当然のごとく見てみた。

その内容を、要約すると、

「警察庁の「自転車対策検討懇談会」は、30日に来年の通常国会に提出する道路交通法改正案の提言をまとめた。改正案は、児童、幼児による運転や、交通量が多く危険な場合に限り、歩道での自転車通行を認める方針。その根拠は、自転車が絡む事故は年々増加し、全事故件数の約2割を占める。(交通事故を減らすため)自転車の安全利用の促進する対策が必要。その他、自転車交通安全教育を中学・高校でも充実させる。」

今までは、自転車の歩道通行は自転車通行可の歩道に限ってきたが、それ以外の歩道も子供や、危険道路に限り認めるということである

読んで見ると、たいていの人は、「お説なるほどごもっとも。確かに子供や高齢者には車道を走るのは危険だよね。危険な車道も、歩道を走るのはやむを得ないね。」と思ってしまうだろう。

いや、それだからこそ、大きな罠が隠されているのである。裏にとんでもない陰謀が潜んでいるのだ。

私は、「これは、氷山の一角だ。悪夢が現実になりつつある。ヤバイ!!」と即座に思った。後述するが、マジでマジで非常にマズイことになろうとしている。

最初に、この改正案の不可解な点、矛盾点を述べよう。主に(1)、(2)、(3)が該当する。

(1)まず、なぜ今この時期に及んで歩道通行を認可するのか理解できない。’78年に道交法が改正されて、自転車通行可の歩道に限り、歩道通行が許されるようになった。当時は、激増する交通事故を減らすための緊急避難措置であったが、いつのまにか歩道を通行するのが当たり前になってしまった。それは、現在の自転車の利用状況を見ても明白だ。市街地の歩道は、ほぼ100%が自転車通行可の歩道である。それ以外の歩道でも、多くのママチャリ乗りは、通行可かどうかなんていちいち確認せず、歩道を当たり前に走っている。

この法改正は、単に現状を追認しただけと言っていい。グレーゾーンだったものを公認しましょうというのは、それはそれでいいのだが。今までの自転車歩行者道はいったい何だったのか?事故を減らすという目的だけでは、改正の動機として不十分であり、納得できない。

(2)自転車を歩道に上げて事故は減るのか?という問題。答えはまったく否。ママチャリ乗りを始めとして、自転車通行可如何にかかわらず多くの人はすでに歩道を走っている。それ自体の議論は置いておくにしても。よって、後から歩道認可と追認したところで、利用者の行動に変化はないのだから何も変わらないし、交通事故も減るはずはない。

また、自動車と自転車の事故は、約73%が交差点で発生している。その73%の内訳は、21%が信号ありの交差点で、残りの52%が信号なしの交差点で起きている。交差点の内部は、当然ながら車道だ。歩道も車道もへったくれもない。だから、歩道上げれば、事故が減るなんてまったく根拠のないデタラメもいいところである。

ここでの詳述は避けるが、車道を走っている人の多くは、ツーキニストやメッセンジャーをはじめ車道を走る体勢(?)で走っているので、車にも気をつけるし、ルールもきっちり守っている人が多い。決してフラフラなんかしていない。よって、ほとんど事故ることはない。

これが、重要だが歩行者と自転車の事故の減少には全くつながらない。むしろ増加するであろう。自転車対歩行者の事故はこの10年で5倍に増えているのである。「歩道上の自転車の事故が増加している」にかかわらず、「歩道を解禁」する。どう考えても矛盾ではないだろうか?

(3)「車道が著しく危険な場合は、歩道走行を認める」とあるが、「著しく危険な車道」とは、どんな車道なのか。どんな場合?道路構造令では、どの種別の道路にあてはまるのか?道路管理者は?交通量は? 何か客観的な指標が明確にあるのか?

いや、どうも違うっぽい。警察が主観で決めるらしい。私は、たぶん郊外バイパス道路の類だと思っているが、補助幹線道路であろうが危険道路に指定される可能性は高い。要するに、歩道がある道路は、ほぼすべて対象になる可能性を孕んでいる。

歩道走行を”認可”とあるので、 今までどおり車道走行できると油断してしまう(私も油断していた)が、どうもそう能天気に考えてはまずいようだ。
「もし君、車道を走っていて事故ったら、あなたの過失ですよ。だって、歩道を走ることを認めているんだもんっ!」

実質、歩道走れという恫喝ではないか。

ここからも車道締め出し思想(後述)の一端が伺える。

では、逆に特に危険ではないのに関わらず、歩道走行をしてた場合、取り締まるということだろうか? 揚げ足取りかもしれないが。

(4)そして、自転車を車道から締め出そうという思想は根本的におかしい。交通事故を減らすためとはいえ、より交通弱者である歩行者へ恒常的に脅威を与えるやり方は、弱者優先の交通道徳に根本的に矛盾している。もとを辿れば、諸悪の根源は自動車である。自動車が自転車にも歩行者にも多大なる脅威と危険をおよぼしている。極論ではあるかもしれないが、締め出すべきなのは自動車ではないのか?自動車が歩行者に自転車に遠慮して通行する当然じゃないのかい?少なくとも生活道路ではね。

世界広しといえども、歩道を自転車が堂々と走っているのは日本だけなのである。これは多くの人に覚えておいてもらいたい。

(5)(4)とも大いに関わる内容。交通安全教育の強化も一見ごもっともだが、これも変な話だ。自転車だけでないが、なぜ交通弱者にばかり、気をつけろ、交通安全って自己防衛ばかり要求しておきながら、自動車側は全く不問に付しているのか?どこをどのように通っても当然だというごとく。自転車のマナー・ルールも出鱈目をいいところだが、ここまでやたら防衛をしないと己の安全が守れないのは、自動車の方に、根本的な原因があるということは頭に入れておいて欲しい。

嗚呼、自動車最優先主義大国日本・・・・。

それでは、何か真の目的が別にあるのだろうか? 

Yes!その通り!

それは、にわかに信じられないだろうが、

段階的に、

   自転車を車道から締め出すこと!

にある。

昨年4月ごろから、警察庁で「自転車車道通行禁止法案」が密かに検討されているということで、疋田智氏を中心に自転車乗りの間では大騒ぎしていた。いったん、この噂は立ち消えになったかのように見えて私もホッとしていた。が、今回、不死鳥のごとく蘇ってしまった。疋田氏によると、前回も今回もメンバーが、まったく共通しているとのこと。

今回の改正で、車道走行を”禁止”でなく、歩道走行を”認可”というのがミソ。

いきなり、車道禁止にしたらツーキニストもメッセンジャーも競輪選手もサイクリストも私も怒り狂うに違いない。いや、間違いなく大々的な反対運動を展開するぞ。

こうやって、反発があまり起きないようにして、少しずつ首を絞めていって気づかれないように安楽死させるつもりらしい。

口当たりのいいことを言っておいて、警察庁の目指す方向は、

歩道解禁(幼児など)→歩道解禁(一般にも)→車道規制(一部に)→車道規制(全般に)→車道原則禁止→車道全面禁止

という話だ。

今回の件は、氷山の一角であり、悪夢の序章なわけである。

警察庁のエリート官僚、およびOB(交通安全協会への天下り連中)たちが、強固に車道から締め出しを狙っているらしい。自転車の活用なんかまったく眼中になく、自転車を邪魔とすら思っているらしい。

それが本当だったら、警察官僚の考えることはどうかしているとしか思えない。私立難関中高⇒東大⇒高級官僚とエリート街道まっしぐらの人間がこんなに偏狭な視野でしか物事を捉えられないとしたら、将来の日本国、いやは人類は大丈夫か?

自転車を歩道走らせていたのでは、まず都市交通機関の一員にはなれないことは明白だ。特に、地方都市ではマイカーの代替にはなりえない。これは、交通事故、渋滞、大気汚染、土地利用の歪曲などの都市問題を悪化させるばかりか、地球環境もボロボロにする。大げさだが、こんな考えしか持てない人が社会を動かしていたら、文明を破滅の方向に持って行くだけだ。

「自転車を車道走行禁止」≒「京都議定書放棄」

と、公言したようなものではないか。先進国の一員としてこれは、あまりにも情けない。

繰り返すが、交通事故を減らすことが法改正の(表向きの)目的である。

しかし、車道がますます自動車の聖域になり、自動車のドライバーはますます傲慢になるだろう。それにより、また、自転車が締め出されたぶん、自動車が増加し、結果として交通事故が増加する懸念もある。川口市の園児死亡事故みたいな悲惨な事故も減らないだろうし、ますます歩行者もビクビクしながら道を歩くしかなくなるだろう。
そして、自転車と歩行者の事故も増加する。
どう考えても、本末転倒ではないか。

だいたい、危険な車道というのは、郊外のバイパス道路および近年に建設された市街地再開発関連の都市計画道路の類だろう。新しいものは、道路構造令の改正により、かなり広く歩道をとってある。だが、相変わらず歩行者と自転車を分離していない・・・・。
まず、その広い歩道を分離してでも(車道を潰せとまでは言わないにしても)、明確な自転車通行帯を設けることが、まず交通行政がやることではないのか?

この法改正が、現実になったら日本の交通行政は、世界一の「大バカ奇想天外交通行政」になってしまうぞ。

まさに、

  日本の常識は世界の非常識!

とうまいこと言ったものである。

最後まで、長い長い文章をお読みいただきどうもありがとうございます(**^^**)

疋田さんのメルマガもご参考に。

http://www.melma.com/backnumber_16703_3447937/

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