書籍紹介(22) 『樹のあるところに、住みたくなったから。 オレゴン州ポートランドのゆるやか暮らし』

Portland

 ニューヨークで9年間暮らしていた、エッセイスト&翻訳家の渡辺葉さんが、少しゆっくりと暮らしてみたかったということで西海岸のオレゴン州ポートランドに移住した2年間の出来事を歳時記ふうに綴った本。春夏秋冬それぞれの葉さん的なポートランドの暮らしが詰まっている。

 リアルで生き生きとした文章からは、ポートランドの魅力がひしひしと伝わってくる。緑が多く街が自然に囲まれている、新鮮な食材が手に入るファーマーズマーケット、特徴的なお店が多いサウスイースト地区、音楽やアートなどの独特な感性、お酒やカフェの文化、アメリカでは珍しく車なしでも生活できる街。やっぱりステキな街なんだなと思わせてくれるには十分すぎる内容だ。

 何はともあれすごく表現が絶妙であたたかい。
「時計の歯車がちょっぴり違う噛み合わせで動いているかのように、時間が他の土地よりもゆっくり流れていく、そんな街なのだ。」(p10)
「密の香りが漂い、絹のような雨が降る街。」(p14)
「ポートランドの夏ときたらそりゃもう、毎日が宝石のように光に満ちて、歩けばふんわりと花の蜜のにおいがして、ついでにハチドリなんかも飛んでいたりして、誘惑でいっぱい。」(p75)
「気持ちの底の空間が、ゆるやかに広がっていく心地がする。」(p162)

 葉さんは再びニューヨークに戻ったのだが、この2年間のポートランド暮らしは、葉さんにとってもすごく感性の磨かれ、大きな経験になったことが伝わってくる。 でも、最後のパートナーとの別れは、ちょっと切ない・・・。

 そして、ポートランドに一度行ってみたくなる、さらに暮らしてみたくなる。また、日本にもこんなステキな街があればなぁとも思わせてくれる。そんな一冊だ。

『樹のあるところに、住みたくなったから。 オレゴン州ポートランドのゆるやか暮らし』(渡辺葉著 2007年2月初版発行 二見書房)
↑アマゾンへリンク

《参考サイト》

渡辺葉のポートランド通信

渡辺葉さんが語る「木漏れ日、炭火焼のピッツァ、魔法の森のポートランド」

樹のあるところ。 (It's a Wonderful World☆)

in Portland (Salon De Voix Home Page)

| | コメント (2) | トラックバック (0)

書籍紹介(21) 『癒しのハーモニーベル あなたの部屋に幸運を呼びこむCDブック』

Ida

【レビュー】

 たまたまコンビニで置いてあったので、購入してみました。本棚に置いてある時点で、なんかすごく不思議なオーラを発していたので。 直感的にそう感じました。

 値段は1500円、財布の中身と相談してちょっと迷ったけど、買ってみて納得です。すごくいいです。決して損なことはないですよ!

 ここ最近ずっと、慢性的にだるくて物事に集中できない状態が続いていましたが、これを部屋に流すと、それがウソだったかのように直りました。その前に、病院で診察を受け薬も飲んでいて幾分緩和していましたが、それにもまして体が軽くなったような気がします。特に、集中して作業ができるようになりました。

 CDは2部構成で、部屋の波動を浄化しツキを呼ぶ場に変え願いがかなうになるのと、自分のオーラを輝かせ幸運体質になるようになる音色が収録されています。

 なんと、美容やダイエットにも効果があるそうです。決して胡散臭いものではないですよ。本物です。是非とも、部屋に流す(聴かなくてもいい)、ipodで持ち歩いて聞く(特に2番)ことをオススメします。

【内容紹介】
よい音には、人を癒し、場所の波動を変えるパワーがあります。

各雑誌、メディアで話題の「ハーモニーベルCD」が、初めて
CDブックになって登場!

あなたの部屋は、居心地のいい空間ですか?

あまり落ち着かない、汚い、植物がすぐ枯れてしまう……という
部屋は波動が乱れて部屋の磁場だけでなく、そこにいる人の運を
悪くしています。

しかし、付属のCDを部屋に流すだけで部屋の波動は変わり、
ツキを呼びこむ部屋に変わります!

モニターアンケートでは、以下のような声が集まっています。

CDを部屋に流すようになったら…
●よい情報があつまるようになった
●掃除をしたくなった
●植物が元気になった
●ぐっすり眠れるようになった
●仕事でいい結果を出せた
●家族の仲がよくなった……etc.

『癒しのハーモニーベル あなたの部屋に幸運を呼びこむCDブック』(居田祐充子 2007年8月 総合法令出版)
↑アマゾンへリンクする

| | コメント (0) | トラックバック (0)

書籍紹介(19) 『ライカとモノクロの日々』

Img10014164927_2

ライカも内田ユキオ氏も、この本で初めて知りました。

内容は、フォトエッセイ。ライカやモノクロに纏わるエピソードに、氏の体験も織り交ぜながら様々テーマでつづられています。秀逸な文章と美しい写真を織り交ぜたエッセイ、どこか幻想的な世界へ引き込まれます!でも、とてもさわやかで暖かい。

特に、渚の写真がお気に入りです。海をテーマにしたモノクロ写真、何か心の奥底まで響く魅力がある。「こんな写真をとれたらな」と憧れます。

だれにも、オススメな一冊です。

【出版社/著者からの内容紹介】
カラー写真とデジタルカメラがあふれる今、モノクロとライカにこだわり続ける写真家・内田ユキオが、黒と白だけで見る静かで味わい深い世界の魅力をじっくりと語る。見るだけで、心があたたかくなるフォト&エッセイ。内田氏の優しくてちょっと切ない写真の日々、堪能できます。

『ライカとモノクロの日々』(内田ユキオ著 2002年12月 エイ文庫)
↑アマゾンへリンク

| | コメント (0) | トラックバック (0)

書籍紹介(18) 『ポラロイドの時間』

4777905128_2

一読して、ポラロイドカメラの魅力にとり憑かれてしまいました。初心者の私でも、ポラロイドの魅力がよく伝わってきます。

内容は、数多くのステキな写真はもちろん、機種の紹介から、ポラロイドの歴史、様々な技法、ポラロイドに纏わるエピソードなどポラロイドカメラの愉しみ方満載です!

デジカメやケータイ内臓のカメラが全盛の時代でも、ポラロイドカメラの魅力は不滅なんだなぁ。

SX-70、ほしくなってしまったよ・・・。

【内容(「BOOK」データベースより)】
大好評「写真の時間」シリーズ第9作は、脱力写真家・藤田一咲が愛するカメラ、ポラロイドの生みの親ランド博士没後15周年記念特別企画、ポラロイドへの愛と感謝と敬意の気持ちを込めたまるごとポラロイドの本。往年の名機から現行モデル、さらにホルガ、ピンホールなどでポラロイドの普段使いを楽しむ著者ならではの写真と技をこの一冊に凝縮。巻末には〈ポラロイド図鑑〉も!かわいくておもしろくて、素敵で知らなかったポラロイドの魅力が満載。

『ポラロイドの時間』(藤田一咲著 2006年3月 エイ文庫)
↑アマゾンへリンク

| | コメント (0) | トラックバック (0)

書籍紹介(17) 『野蛮なクルマ社会』

Imageaeu

 筆者は、現代の車社会を「現代における最大の怪奇」だと述べているが、これには私も異論はない。

 毎日毎日、全国のどこかで人が自動車に殺されたり、傷ついたりしているにかかわらず、それがさも当たり前の出来事として扱われ(年間の死傷者からしたら日常茶飯事であると言わざるを得ないが・・・)、何ら抜本的な対策をとらずに、何十年も車社会のあり方を本質的に変えようとしないのだから。鉄道や航空機の事故、工事現場の事故、家電製品等の火災に対する社会の対応と比べてみてもその無頓着さ(交通事故は仕方ないという考え方)は明白だ。

 また、子どもへの交通安全教育も怪奇そのものだ。子どもには耳にタコができるくらいに、「車は危険だ!車に気をつけろ!飛び出すな!道路であぞぶな!」と、言い聞かせておきながら、当の危ない原因をつくっている自分たち大人の自動車利用は不可侵としているわけだから。それでいて子どもが事故に巻き込まれると、子どもにも過失ありとする社会の風潮も異常であると。それに対して、「子どもは視覚等も未発達で判断力も大人に劣る。時に間違うものであり、飛び出しなども興味引かれるものがあったら当然してしまう。道で遊ぶのも子どもにとって当然で大人がそれを制限すべきでない。大人がやるべきなのは子どもが間違っても二重、三重に守られるようにすることだ。」と述べている。

 このように筆者は、現代の車社会のあり方を疑わない社会自体を痛烈に批判している。それは、けっこうキツイ主張であるが本質的には間違っていないと思う。他にも、市街地の速度は20km/hに制限せよ、ハンプを幹線道路にも入れろ、歩行者とは厳重に隔離せよ、路地は通行禁止にせよ、運転基準を設置せよ、専門家のみに操作を委ねよ、助手席には警察官(要するに副運転手)を乗せて安全を確保せよ、歩行者にぶつかっても死傷事故にならぬように車体をやわなものにせよ、自動車の絶対量を減らせなどと、相当に過激な主張が並ぶ。

 それらを実行するかはともかくとして、こういう問題意識をもっとドライバーに知ってもらうのはいいことなので、教習所でこういうこともきちっと教えるべきだと個人的には思う。少なくとも、今よりは歩行者に気を使うようになるだろう。

(目次)

序 論 まず全体を理解しよう

 1 犠牲(いけにえ)になる子どもたち
 2 過剰モータリゼーションの結末
 3 私たちに何ができるか

本 論 もっと詳しく知ろう

 第1章 自動車によって道は危険のちまたに
  1 自動車にはシステムの欠陥がある
  2 危険な自動車・危険な無法駐車
 第2章 自動車の害は広範囲に及ぶ
  1 排気ガスが肺をむしばむ
  2 騒音・振動が心もむしばむ
  3 スパイク粉塵(車粉)もいぜんとして深刻だ
  4 ホコリも泥はねも、ガラス公害も犯罪も
 第3章 他の誰よりも子どもやお年寄りが影響をこうむる
  1 子どもは遊び場を奪われて泣いている
  2 お年寄りには利用できるバスがない
 第4章 ハンプで事故は激減する
 第5章 せめて小路は「禁車」にしたい
 第6章 運転は素人にまかせてはいけない
 第7章 何よりもクルマが多すぎる
  1 鉄道や市電をもっと使おう
  2 公害には責任をもってもらおう
  3 自動車会社にも厳しい目をむけよう
 第8章 交通行政を考え直そう

  1 パート警察官を雇わせよう
  2 交通行政も異常だった
  3 「西独型対策」だって異常だ

 あとがき
 事項索引

『野蛮なクルマ社会』(杉田聡著 1993年5月 北斗出版)
↑アマゾンへリンク

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ファスト風土化する日本』 ブックレビュー(16)

『ファスト風土化する日本―郊外化とその病理』
(三浦展著 2004年9月洋泉社新書)

Fast_4

内容(「BOOK」データベースより)
のどかな地方は幻想でしかない!地方はいまや固有の地域性が消滅し、大型ショッピングセンター、コンビニ、ファミレス、カラオケボックス、パチンコ店などが建ち並ぶ、全国一律の「ファスト風土」的大衆消費社会となった。このファスト風土化が、昔からのコミュニティや街並みを崩壊させ、人々の生活、家族のあり方、人間関係のあり方もことごとく変質させ、ひいては人々の心をも変容させたのではないか。昨今、地方で頻発する不可解な犯罪の現場をフィールドワークしつつ、情報社会化・階級社会化の波にさらされる地方の実情を社会調査をもとに探り、ファスト風土化がもたらす現代日本の病理を解き明かす。

[管理人レビュー]

『脱ファスト風土宣言』、『下流社会』、『下流同盟』の原点となる作品。久しぶりに読み返してみた。

「ファスト風土」とは、「ファストフード」をもじった三浦氏の造語である。
いまや地方都市の幹線道路を走ると、旧市街の外れに現れる、巨大ショッピングセンター、ファストフード店、紳士服、サラ金、パチンコ、カラオケ、ファミレス、ラブホ、果ては温泉まで・・・。
本当に、ファストフードの全国一律のサービスみたく、同じような風景が青森でも栃木でも高知でも見られる。
(私は自転車であちこち走ってきたが、これでは何のために旅してるか分からなくなってくるほどだ。今では、出来る限り、旧道を走るようにしている。)

それに引き換え、古くからあった個人経営主体の商店街は壊滅状態に。地域コミュニティは崩され、家族も専ら消費共同体に変貌し、若者の無気力にもつながったという。のどかな地方では考えられないような犯罪の多発についても言及されている。

郊外化の進展により、地域が均質化、画一化、匿名化、流動化がしてしまい、単なるモノの消費に頼る生活を続けるリアリティの欠如こそが、ファスト風土化の真髄だと思う。人間味を欠いた機械のような空間やライフスタイルを強いられるのが豊かな社会だとは到底思えない。
そういう意味では、歴史や風土、人々の生活から乖離した薄っぺらい社会に落ちぶれたと感じざるを得ない。街には、もっといろんな意味、要素があったはずだ。

しかし、この問題のややこしくしているのは、実際にファスト風土を享受している地域住民の意識だろう。「クルマ利用に便利で、値段も安くていいことばかりだ」と言う意見も多く聞かれる。それを否定はしないが、要するにそういう人は、郊外ライフスタイルを謳歌しているつもりが実は、「ファスト風土に利用され搾取されている」と思う。
それは、漫画「ドラゴン桜」ともつながってくる箇所が多いように思える。
”働かずに金を得ることを当然視する退廃的な価値観の蔓延だ。生きる意味の喪失だ。”
”彼らはもう働く意欲がない。楽をして、適当に生きることしか考えない。”(p178より)

Noichiminami
ファスト風土な景観(高知県香南市野市町)

◆アマゾンへリンク
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4896918479/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『物理学者、ゴミと闘う』 ブックレビュー(15)

406 『物理学者、ゴミと闘う』
(広瀬立成 2007 講談社現代新書)

[内容説明]
環境問題の本質はゴミにある。「燃やして埋める」政策はなぜ大間違いなのか。ゴミゼロ運動の先頭に立つ科学者が、基本法則からわかりやすく説く、「持続可能な地球」のための物理学。

 

[レビュー]
物理学者である著者が、ふとした機会から町田市のプラスチック処分施設問題に関わった経緯を著した著書。

物理学者だけに、ゴミ問題にもエネルギー保存の法則、質量保存の法則、エントロピー増大の法則を上手に適用しながら、現在のゴミ処理の欠陥を指摘している。「環境エンジン」という喩えは、まさに真髄を突いている。

・循環サイクルが機能してなければ、上手に隠したつもりでも問題の先送りにしかならない。
・エントロピーが渋り溜まったら循環システムはバランスを崩す。プラスチックをはじめ人間が出すゴミ(炭酸ガスも含む)は、まさにこの状態である。

最終的に、行政の方針を変えた「市民の活動」こそが環境問題を考える上で大きなキーポイントになってくる。白紙撤回までの経緯は、まさに行政と市民の協働による芸術作品だ。これからが本格始動のようだが、ごみゼロを実現に向かうことは確実であろう。

東洋町の高レベル放射性廃棄物問題も、住民が主役になり反対運動を展開したことが、反対派候補圧勝の結果につながった。感情論、嫌悪感を超えた町の将来を想う住民の意思が表れたといっていい選挙戦であった。

本書では、核のゴミについても触れられている。原発はとても環境にやさしいエネルギーではなく、負の遺産をせっせと増やすだけのシロモノであると述べられている。

「もったいな精神」の復活にこそ未来はある!!

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061498878/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『 1%あなたはその中にいますか。―環境に無関心、それが地球破壊の最大の凶器となっていく。』 ブックレビュー(14)

Abde 『 1%あなたはその中にいますか。―環境に無関心、それが地球破壊の最大の凶器となっていく。』
(財津昌樹 2004 光村印刷)

 

 

 

内容(「MARC」データベースより)
1992年、地球環境サミットにあわせて、環境改善にグラフィックデザイナーとしてできることは何かと考え、11人の仲間でスタートした「地球はともだち」カレンダー展。その中から著者が出品した過去10年余の作品を収録。

[管理人のレビュー]

これは、衝撃の一冊だ。
一つ一つの魂胆の込められたメッセージは強烈に私たちに訴えかける。

タイトルの「1%」は、日本にグリーンコンシューマーの割合だとか。欧州では、それが70%にも達しているとか。

本書の冒頭には、日本の情けない実情が早速出てくる。
 
◆世界で最もゴミを発生させ、燃やしている国。
◆世界で最もダイオキシンを発生させている国。
◆世界でも最も温暖化に対する努力をしていない国。
◆世界で最もフロンガス削減に対する協力の少ない国。
◆世界で最も多く食糧を輸入し、無駄に捨てている国。


著者が訴えるように、日本は本当に情けない国だと思う。某世界一の大国に次ぐ情けなさだ。

本書は、具体的に様々なことを訴えかけているが、私が思うことを付け加えると、
 
■世界の潮流に逆行して原子力発電を推進する国
■未だにクルマ優先思想を変えようとしない国
■道路予算は莫大にありながら鉄道の改良には雀の涙ほどの予算しか割けない国
■様々な利点を持つ鉄道を次々廃止する国
■自転車が歩道を走ることに何とも思わない国
■自転車レーンすらまともに作れない国
■食糧の自給すらできない国
■量販店のために簡単に農地を潰すことを許す国
■景観に対してことごとく無頓着な国
 

など

それでも、省エネ技術など個々の技術力は世界一というのは、誇れる唯一の長所といってもいい。それをコントロールする社会システムの方が、不健全な結果が今の日本社会なんだと思う。

本書は、物理的な環境問題ばかりでなくコンビニ本(端っこにある例の本)や落書きなど色々と日本社会の病的(?)な側面にも斬り込んでいる。

是非とも、最も目に付くところに置いて繰り返し目を通すことを薦める。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4896159861/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『核大国化する日本 平和利用と核武装論』 ブックレビュー(13)

Aaab_1 『核大国化する日本 平和利用と核武装論』
(鈴木真奈美著 2006/08 平凡社新書)

内容(「BOOK」データベースより)
「核の平和利用」を進めるうちに、今や日本は「非核兵器国」で最大の核施設・核物質保有国となり、IAEAによる核査察では最重要国のひとつとなっている。さらに二〇〇六年三月、六ヶ所村の核燃料再処理工場がプルトニウムを取り出す試運転に入った。その一方、北朝鮮に触発されて、核武装論も台頭し始めている。原発、核燃料サイクル、核兵器―次世代への責任として、核の利用の再考を促す。

[目次]
第1章 日本は「非核武装国」を選択した
第2章 「核燃料サイクル」のキーワード
第3章 「核拡散」のキーワード
第4章 核兵器保有国の増殖
第5章 プルトニウム大国・日本

[管理人レビュー]
核に関する基礎知識から、原子力発電、核兵器、政治問題まで幅広く網羅されている。

どこか遠い世界のことのように思える核武装や原子力について、考え直す上でも是非とも多くの方に読んでもらいたい一冊。

一連の問題は、確実に「知らぬでは済まされぬ」問題だ。原子力発電を稼動させる限り、多大なリスクから開放されないばかりか、着実に地球規模で放射能汚染が進む。廃棄物の管理などの問題も深刻化するだろうし。

特に、高速増殖炉や六ヶ所村再処理工場に象徴される「核燃料サイクル」が、いかに破綻したものであるかが繰り返し述べられている。
使用済み燃料からプルトニウムと抽出しても現状では使い道がなく、計画が完全に達成されるのは、なんと”100年後”という。
実現の見通しが薄いものにすでに莫大な予算が投入されている。ほとんど博打同然の世界だ。
また、除去するのにコストがかかかる放射性物質は、大気中や海洋に垂れ流し、高レベル放射性廃棄物も増え続けていく。

日本の原子力政策の矛盾した側面が、見えてくるだけに色々考えさせられた。
マジで考え直さないと、地球が「放射能に汚染された住めない星」に近づいていくのは確実であろう。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4582853366/

| | コメント (0) | トラックバック (1)

『スローライフ 緩急自在のすすめ』 ブックレビュー(12)

Avb 『スローライフ 緩急自在のすすめ』
(筑紫哲也著 2006/04 岩波新書1010)

内容(「BOOK」データベースより)
IT革命の進行の下で、いま暮らしと仕事のあらゆる領域でスピードや効率を求める勢いが加速している。だが、他方でその潮流への根本的な懐疑も確実に拡がっていよう。「秒」に追われるニュースキャスターならではの痛切な問題意識に立って、「スロー」に生きることの意味と可能性を全国各地の食生活・教育・旅などの実例から考える。

 

(目次)

1 「それで人は幸せになるか」
2 スローフード、9・11、一神教
3 ファストフードの時代
4 寿司と蕎麦、そして地産地消
5 「食」の荒涼たる光景
6 小さな旅、スローな旅
7 失われた「子供の楽園」
8 急ぐことで失うもの
9 「学ぶ」ということ
10 「スローウエア」「ファストウエア」
11 ロハスのすすめ、森林の危機
12 「木」を見直す
13 長寿と「人間の豊かさ」
14 スローライフ、北で南で
15 真の「勝ち組」になるために

(管理人レビュー)

NEWS23でお馴染みの筑紫さんの本。
筑紫さんの哲学が、この本には詰まっている。
地域おこしから、学ぶこと(教育)、食、環境問題、テロ問題と様々。

本文に、
「単一の価値で、それを測る社会は息苦しい」
「さまざまに多様なものさしがあることが、お金以上にその社会を豊かにする」
あるが、まさにこれに尽きると思う。
スローもファストと対立する軸で考えるのではなく、「緩急自在」に共存していこうという考え方は、大変説得力がある。

本書で、一番衝撃的な内容は、日本では子供が野山でまちで遊ぶ光景がめっきり少なくなったことだ。これほど目の輝きを失った子供は世界中どこを探してもいない。
これには、相当なショックを覚えた。
逆に、東京のど真ん中で、駄菓子屋さんの前にたむろする子供の光景があるなんて、なんとも意表をつかれた気分だ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004310105/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『世界の路地裏100』 ブックレビュー(11)

Aaa『世界の路地裏100』
(佐藤秀明著 2005/03 ピエブックス)

内容(「BOOK」データベースより)
中世ヨーロッパの石畳が残る旧市街の路地裏、色とりどりの家の壁がかわいい南米の路地裏、白い壁が光に反射するアンダルシア地方の白い村、夕暮れ時のノスタルジックなアジアの路地裏など、新旧の歴史が交錯する魅力的な路地裏をご紹介します。

  

《管理人レビュー》

やっぱり、路地裏っていいなぁ・・・・。
こういうところを旅したい。
って、感じにさせられる写真集。

スペイン・コルドバ、フランス・ニースなど約13ヵ所の街の路地裏が収録されている。

そこは、住人や用事のある人以外は、まず間違って迷い込むことはないだけに、住人たち固有の世界だ。俗化されてない、飾られてないありのままの街の姿がそこにある。
こんなところ、訪ね歩いてみたい、と思わせる内容に仕上がっている。

日本でも、鄙びた漁村の路地裏には、大いに魅せられる。路地から垣間見える、海辺・・・・、こんな光景、最高!

『日本の路地裏100』もオススメ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4894444046/mixi02-22/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『図解 地球の真実 -世界の、とても不都合なこと-』 ブックレビュー(10)

Aaa_2 『図解 地球の真実 -世界の、とても不都合なこと-』
(加藤久人ほか 2007/03 宝島社)

(目次) 
第一部 Global Truth  世界の真実
第二部 Our Truth 日本の真実
第三部 The Issue 何が問題か?
  
  

(管理人レビュー)

ここ最近の、冬でないような冬、猛暑、竜巻などの異常気象、
そして、ニュースで伝わってくる北極海の様子、絶滅種の増加・・・・
もう、さすがにヤバイ状態になっていると思わざるを得ない。

いや、実際にかなりヤバイことになっていることが、最近になって急速にメディアなどで報じられている。 この本も、その一つだ。ゴア氏の講演録『不都合な真実』も話題になっているところ。

地球環境問題の今を、本書は、グラフや写真、説明図が多く用い、分かりやすく解説している。 もやもやしていた多種多様な事柄が、けっこうスッキリ理解できた。

こういうのを読むと、私はすぐに、
「できるだけクルマ乗るな。なるべく公共交通と自転車を使うべし!」
と、言いたくなるのだが。
実際に、1mでもクルマの走行距離を削減することが、今みんなにできることで効果も大きいことだと思うからだ。

裏表紙には、 【目を背けても 必ず襲ってくる・・・】

是非、読みましょう!

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4796656944/mixi02-22/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『沢田マンション物語』 ブックレビュー(7)

Sawaman 『沢田マンション物語』
(古庄弘枝 2002/9 情報センター出版局)

内容(「MARC」データベースより)
設計も基礎も大工仕事も配管も、ぜんぶ独学、自分たちの手で。聞いたこともない方法、見たこともないつくりの「愉快なマンション」を実現した夫婦の痛快ドキュメント。
   

(目次)
第1章 「笑みがこぼれるマンション」の理由
第2章 「奇才誕生」秘話
第3章 建てては売る新婚時代
第4章 悲願のマンション建設の裏側で
第5章 沢田夫妻が語りかけること

(管理人レビュー)
つい先日、全部読み終えた。 都市計画にも深く根ざした興味深い内容なんだが、えらく分厚くてなかなか読んでなかったので。

高知県出身ながら、このマンションの存在に最近まで気づかなかった。すぐ近くは、何度も通ったことがあるのに、建物が見えていても、特に気にとめることがなかった。「ちょっと、変わった建物だな」と思っていたくらいだ。

その建物が、世間で注目され本にもなるくらいのものだったことに驚愕!!

本当に、何から何まで業者に頼らずに手作りでやってきたんだなぁ。どこまでも「自分が何でもする」ということを徹底している。
マンションそのものだけでなく、内装から製材、電気配線、配管、井戸掘り、水田・野菜畑作り、材木の切り出し、日ごろのメンテナンスまで。食料も、マンション屋上等の田畑から供給し、自給率90%。

まさに、「自分自身で創り、暮らす」ということを生涯にわたり貫いてきた沢田夫妻の人生が描かれている。

それぞれの専門家に任せず自分でやるって一見効率悪そうだが、夫妻の建売住宅建設物語などからは、かえって合理的で、迅速かつ頑丈かつ安価にできることからも自分でやることの底力を感じられた。

現在のものの多くは、目先の利便性や効率性ばかりにとらわれてしまい、それと引き換えに失ってしまったものも多いんだな。

このマンションは、建築やコミュニティのあり方を、目に見える形で、一つの答えとして提示している。

余談だが、高知にはもう一つ代表的なセルフビルドが存在する。
市内をゴトゴト走っている路面電車の約3分の1は、土佐電鉄が自社工場で組み上げられたものだ。こちらは「セルフビルド電車」とでも呼べようか。

どちらも、高知県人のいごっそうな気質が生んだものかもしれない。

S16
↑ 沢田マンションの全体写真

Img_0900
↑マンションの玄関? 3階にはスロープで昇っていく。

参考1 建築マップ 沢田マンション
http://www.archi-map.net/~tks_design/jp_kochi/sawada01.html

参考2 LIFT -沢田マンション交換日記-
http://sawamanblog.seesaa.net/

参考3 けんちゃんのどこでもコミュニティ 沢田マンションの住民の皆様
http://www.nc-21.co.jp/dokodemo/gesuto6/sawada.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『下流同盟 格差社会とファスト風土』 ブックレビュー(5)

Aaajpg_3 『下流同盟 格差社会と脱ファスト風土』(三浦展[編著] 朝日新書)

内容(「BOOK」データベースより)
日本全国のアメリカ化は、はなはだ疑問だ!郊外ロードサイドに増殖する大型商業施設、空洞化する中心市街地と駅前商店街、不可解な犯罪、崩壊する家族、増大するワーキング・プア、そして青少年の非行化…。『下流社会』の著者が、アメリカ現地取材やフランスの現状を踏まえつつ、日本の将来を問う。

(目次)
第1章 下流社会とファスト風土 三浦展
第2章 これがアメリカのファスト風土だ! 三浦展
第3章 ファスト風土化し下流化する地方 服部圭郎
第4章 嫌われるウォルマート 服部圭郎
第5章 日本のワーキング・プア 心の叫び 宮本冬子
第6章 アメリカの下流社会 こぼれる若者たち 藤田晃之
第7章 古いヨーロッパ・フランスは抵抗する 鳥海基樹

(管理人レビュー)

三浦氏の関連著作は批判も多いが、「なるほどな」と思わせる部分も多い。編著で学識経験者も執筆しているので読み応えあり。

ファスト風土化が進むと下流社会化が進み、下流社会化が進むとファスト風土化が進むということがだが、多くの人は薄々でも感じているのではないだろうか。

大店法改正からというものの、加速度的に郊外に超大型ロードサイドショップが進出し、既存の商店街は個人商店レベルのみならず、スーパー・百貨店までを廃業に追い込んだ。そして、残ったのは廃墟同然となった商店街。鉄道駅を降りて、この光景に出くわす確率はかなり高い。さらに、執拗な値下げの圧力で卸売り業者、運送業者、製造業にまで大きなしわ寄せがいき、地域で働く人はチェーン店で働く低賃金のパート・アルバイトばかりになっていく。人の心も荒れ、街は殺伐とした空間になる。
一見、よさそうでも本当はろくなことにならないのがファスト風土だ。

個人のお店が一切なくすべてがチェーン店の街の光景を思い浮かべたら・・・。誰一人も主体的・自主性を発揮できない、それを表現する機会もない・・・。働いている人は、ただマニュアル通りにこなし、消費者も機械のように買い物する・・・。考えただけでも空恐ろしい。まるで、外部資本の奴隷の街ではないか。

休日に、郊外型ショッピングセンターに買い物に来ている家族連れを見ると、どうもとらえどころのない空虚さを覚えてしまう。あまりにも画一的というか、価値観のなさというか、事の異常さは確かにある。それだからこそ、逆に自分のスタイルを持っている人がかっこよく見えるのだが。

確かに、私も地元の田舎町で冴えない米屋、酒屋、雑貨屋などしかなかったところにコンビニが出来た時の感動はすごかった。都会の文化がやってきたと正直嬉しかったという感じだ。ロードサイドのファストフードやファミレス、レンタル店、ゲーセンなどに行くのがかっこいいというような風潮すらあったほど。もっと、そういうものが出来て発展して欲しいとすら思っていた。高校時代には、買わないくせに自転車でそれらをハシゴしたものだ。こじんまりとしたカフェや雑貨屋などには存在にすら気づかなかったよ。それでも、中心市街地の衰退はいささか寂しいと思っていてなんとかせねばと思っていた。
単に無知だっただけだが、その無知・無関心こそがファスト風土化を招く一因かもしれない。

こうは言ったものの、県庁所在地クラスの街には、探せば個人個人がこだわりを持って開いているお店もかなりの数ある。レストラン、カフェ、スウィーツや雑貨屋、美容室など、新たな個人のお店という感じで「これが大型店に対抗しうる個の力だな」と思えて、大変心強い。こういう人たちがいるから街は楽しい。自然と応援したくなってくる。

こちらも参考になります 「Tokyo Chill Out」
http://blog.livedoor.jp/koutaotani/archives/50975816.html

写真:これぞファスト風土!?(高知県香南市野市町・管理人撮影)

Noichi

| | コメント (0) | トラックバック (2)

『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』 ブックレビュー(4)

400009375409 『戦争って、環境問題と関係ないと思ってた』
(田中優 2006/05 岩波ブックレット)

内容(「MARC」データベースより)
ぼくらは「敵」なるものから自分を守ろうとして、自分の住む地球という惑星そのものを破壊しようとしているのだ。戦争、そしてその準備のための軍事開発による環境問題、戦争をカネに変える方法などを取り上げ解説。



<管理人のコメント>

タイトルを見て、さらに中身を読み進めると頭をガツンと殴られたような、ハッと我に返るような強い印象が残る。

タイトルの通り、オゾン層破壊、砂漠化、酸性雨、生態系の破壊・・・と様々な環境問題に関心を持つ人は多いけど、戦争自体にまで目を向ける人は少ないのではないだろうか?

実際、戦争は最大の環境破壊だ。まず、軍備は戦闘に勝つことのみを追求しているので、環境などまったく考慮されない。戦車の燃費はわずかリッターあたり200mだという。
さらに、劣化ウラン弾、高高度核実験による電離層破壊、さらに恐ろしいことに兵器の人体実験まで・・・枚挙にいとまがない。
戦争は、環境に対する地道な努力を、一瞬にして無駄にしてしまう凄まじい環境破壊なのである。本文には、

 「戦争を肯定する限り、ぼくらに未来はない」

とある。

イラク戦争自体も、大量破壊兵器というのはでっちあげで、真の理由は石油資源で、そのために侵攻し、軍需産業が潤い、軍需産業に投資会社を経由して投資した権力者たちが、莫大なカネを得る・・・・・。
さらに、その戦費は、日本の銀行預金や郵便貯金からも調達されていたと・・・・・。
そう、これは他人事じゃない。私たちも真剣に受け止めないといけない問題だ。 呑気に、ガソリンがぶ飲みするクルマを乗り回している場合じゃないぞ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

『クルマを捨てて歩く!』 ブックレビュー(3)

406272085x09_1 『クルマを捨てて歩く!』(杉田聡 2001/08 講談社+α新書)

内容(「BOOK」データベースより)
クルマのない生活は可能、人間らしい生き方が始まる。クルマを捨てると、時間がふえる!お金がふえる!体力がついて健康になる!歩く楽しさと、心身ともにリラックスする快適さを味わえるシンプルライフの提案。

(管理人のコメント)

クルマを捨てると・・・
1・人生の持ち時間が増える
2・お金が増える
3・たくさん歩くので、よけいな脂肪が減り、体力がつく
4・歩く生活になることで、自然や人とのかかわりが深くなる
5・環境を汚さないし、資源のムダづかいを減らせる
(本文より抜粋)


この本の著者は、公共交通網の発達した大都市で生活しているわけではない。誰もがクルマなしでは生活できないかのように思える、中小都市でしかも真冬の気候は、とても厳しい「北海道帯広市」でずっとクルマなし生活を続けているのである。しかも、家族全員で。
筆者は、クルマに乗らないのは何も環境保護など禁欲的なものでなく、何よりそうすることが楽しいから、精神的にリラックスできるからということを分かりやすく説明している。そして、何より人を殺してしまう可能性があるものを使わないことは、人間生きていくうえですごく重要なことだ。

私たちが、日々の生活でクルマに乗るということが、本当に理にかなった行動であるのかということを、改めて考え直される。いかに、クルマ社会は便利ですばらしいものであるかと洗脳されてしまっていたかにも気づかされる。

他にも、色々と考えらされることは多い。
・なぜ、鉄道車両の運転はプロに委ねられているの、ずっと危険で不安定なクルマの運転は、素人同然の人間に委ねられているのか?
・子供には常にクルマに気をつけなさいと言っておきながら、その原因を作っている大人自身はクルマ利用を改めようとしないのか?
・自賠責保険は、なぜ自身のものでなく、他人を殺傷したときを想定しているのか?
・なぜ、1年の間に1万人近い人が死亡しているのに、自動車交通システム自体の欠陥を認め、抜本的な改善に向けて努力しないのか?

クルマに乗らないと不便なこともあると認めているが、何よりクルマに乗らないほうが、余計な心配をする必要もない。毎日すっきりと納得できる行動をしていたほうが、ずっと満ち足りた気持ちでいられるということだ!

| | コメント (0) | トラックバック (1)