高知から持続可能な交通を実現する(46) 「一体いつまで続くのか、無駄な道路建設」
高知東部自動車道とは、高知市一宮の高知ICから南に向けて五台山を突き抜け、東に方向転換し高知龍馬空港を経て芸西村西分まで至る自動車専用道路である。高知南国道路(15.0km)と南国安芸道路(12.5km)を合わせたもので、一般国道の自動車専用道路で名目上は改築事業だが、実質は高速道路の新設である。
ここで、土佐国道事務所のパンフレット「南国土佐の発展と安全快適な暮らしを支える道づくり」(平成19年度事業概要)の文章を引用する。
●高知東部自動車道の概要
「高知東部自動車道は、高規格幹線道路網を構成する一般国道として整備される自動車専用道路であり、四国横断自動車道と一体的に機能することにより、高知県内あるいは県外との高速ネットワークを形成し、高知県東部地域と高知市との県内の広域的交通の高速性、安全性を確保するとともに、現国道沿線地域の生活環境の改善、地域活動の活性化などの向上を図るために整備するものです。」
整備効果として、現在安芸市から高知駅まで、ラッシュ時で約73分かかっているのが約34分になり、約40分も短縮するとある。さらに、高知県東部地域の生活圏が広がる、観光ルート開発や産業立地条件が改善され地域の活性化に寄与すると美しい言葉が散りばめられている。
この看板によると、安芸からはりまや橋までは、100分から45分に、芸西からはりまや橋までは、82分から40分に短縮できると書いている。なぜかパンフレットと数値は違うのだが・・・・。
現在の進捗状況は、南国市稲生付近に橋脚が立ち並び、その他香南市香我美町徳王寺付近にまとまって盛り土区間が出現している他、香南市夜須町では、手結山(ていやま)第一トンネルが貫通し、第二トンネルの工事が進捗中である。
(工事現場の入口にある)

(トンネル工事の現場)
(トンネル入り口付近から西方面を望む)
(トンネルの西側では築堤が完成している)
(千切と出口の市道を跨ぐ部分)
この件については、かつて当ブログやJANJANでも問題点を指摘してきた。
・ 高知東部自動車道は本当に必要か(当ブログの記事)
・ 高規格道路は地域は壊れる:高知東部自動車道(JANJANの記事)
もう一度簡単に述べるが、この道路の建設には多いに疑問を感じている。もう完全に時代錯誤である。温暖化対策にも逆行するし、これ以上道路を造ったって人々は幸福にならない。環境破壊、農業破壊、景観破壊、税金浪費と百害あって一利なしの公共事業である。
この区間には開通して間もない鉄道路線「ごめん・なはり線」が存在することをもっと見直そうではないか。土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線を、電化し低床ホームを新設、土佐電鉄とも直通可能として、さらにJR土讃線・高知~土佐山田を複線化した方が、はるかに少ない費用で大きな渋滞対策効果と時間短縮になる。道路建設で安芸~高知駅間34分を謳っているが、鉄道では現行でも振り子列車を使用し新快速を走らせるなどしたら安芸~高知は30分ほどで走破できるし、土電乗り入れでも高知から持続可能な交通を実現する(7)で書いたように、後免線郊外区間を抜本的に改良すれば、安芸~はりまや橋間最速35分は可能だ。某BBSの連中は、「鉄道整備にどんだけ設備投資費がかかるんだ」と騒ぐが、高知東部自動車道を建設する費用に比べればはるかに小さいことは明白である。そもそも新設と改良では桁が違う。
この高知東部自動車道の他にも、四国横断自動車道(須崎新荘~窪川間は、平成15年12月の国土開発幹線自動車道建設会議において決定された新直轄方式により整備される区間)、高知西バイパス(高知市鴨部~いの町波川)や国道195号バイパスあけぼの街道(知寄町3丁目~土佐山田・県管理区間)などの大規模な道路事業が進捗中である。いずれも渋滞解消などを目的としているが、いずれも並行する鉄道路線が存在する。それを一部改良し自動車交通を鉄道へシフトするようにすれば、ずっと少ない費用で渋滞解消にも時間短縮にも交通事故対策にもなる。そしてCO2削減にも確実に寄与する。
四国横断自動車道の場合は、JR土讃線、中村線を一部改良すれば、特急列車は時間短縮可能になる。現在、高知~中村間で約1時間45分要しているが、電化して2000系気動車の後釜を高加減速に力点を置いた振り子電車にして(仮に9000系としよう)、日下駅などの両開きポイントを1線スルー化するなどすれば15分短縮は可能である。
高知西バイパスは、JR土讃線の輸送力増強で対応すべき。朝倉で土電と直通し(鏡川橋~JR朝倉間は新線が必要になる)、朝倉~佐川(もしくは須崎まで)を複線化すれば、普通列車も増発と高速化が可能になる。
国道195号バイパスは、JR土讃線の高知~土佐山田を複線化すればよい。高知~薊野は、高架橋を増設する必要があり費用がかかるので、そこは除外してもよい。高知~土佐山田で普通列車10~15分の頻発運転で、自動車から切り替える人も増える。
もはやJR線は、民営化してしまっているので新設や改良がままならなくなってしまった。特にJR四国は経営基盤が最も脆弱なのでなおさらだ。牟岐線阿南以南や予讃線伊予市以南の汽車時代の低いホームを嵩上げすることすらなかなかできないくらいだ。国鉄時代は、土讃線(当時は土讃本線)も災害対策を中心にトンネルで短絡するなど改良がなされていた(大歩危トンネルや土佐北川付近は付け替えられている)が、民営化してからはさっぱり実施されていない。JR西日本の可部線可部以北も、老朽化した設備を修繕する財源的な仕組みがないがゆえに廃止になってしまった。その視点では、国鉄民営化は失敗だったと言える。
しかし、国策として地球温暖化対策を推進すること、交通弱者や低所得者などへの社会的公平を実現すること、社会活動の上で基礎的なインフラであることから、鉄道を含めて公共交通に税金が投入されることは理にかなっているはずだ。
交通における道路や自動車交通偏重の思想こそ、道路特定財源問題で議論されてしかるべきだ。
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コメント
はじめまして。
戦後の日本はこういう流れで来ました。
・公衆浴場→家風呂
・公共交通→クルマ&バイク
・公衆電話→携帯電話
要するに、生活のあらゆる手段がプライベート化されて来た訳です。もちろん左側のほうがエコなのは言うまでもありません。一人一人が風呂や電話を持つよりも、皆が銭湯や公衆電話を使うほうがエコですね。
でも、そういった不便な時代に戻る覚悟はありますか?ということです。交通手段についてだけあれこれ意見を書かれても説得力に欠けます。ケータイも持っていなくて、いつも銭湯に通っている人の意見なら説得力はありますが・・・。
投稿: 通りすがり | 2008年7月 6日 (日) 18時24分
田中康雄でしたかね。一度便利なことを覚えると不便な時代には戻れない。なんとなくの小説の一節でしたか。
それはバブルの時代でどんどん文明が進歩するのが当たり前であると思われていた時代のお話。これからも進歩するかどうかはわかりませんね。むしろ資源のない日本では退歩する可能性もあります。
公衆浴場はそれなりの楽しみがあるし。公共交通もそうですし。公衆電話にまた戻れば良いとも思う。それでも文明社会ですよ。
いつぞやバリ島でしたか。不衛生な環境に市場ニョワイのが日本人。他国の観光客はなんでもないのに、日本人だけが感染症になりました。
過度の文明の進歩はおかしなことになりますね。ひ弱になるだけですね。
投稿: けんちゃん | 2008年7月 6日 (日) 20時21分
■通りすがりさん
■けんちゃん
コメントありがとうございます。
返信は、今度アップするエントリでさせていただきます。
投稿: やっしー@管理人 | 2008年7月 6日 (日) 22時35分