高知から持続可能な交通を実現する(36) 「新型車両の提案(超低床車・新500形)」
バリアフリーに対応した超低床車は、2002年に100形「ハートラム」が1編成投入されたが、製造費が高価(1億9000万円)で、現在は増備の予定は全くない。台所事情の厳しい土佐電鉄では、現行の補助金体系では事業者負担分がとても捻出できないからである。
(ハートラム100形)
予算の問題はあるが、高知の路面電車がLRTと呼べうるシステムに脱皮するには、バリアフリーに対応した超低床車も順次導入していく必要がある。
さて、増備する場合、純粋にハートラムを新造することがまず考えられる。単に、旧型車両を置き換えるならそれでもよいが、後免線の高速化や鉄道線との直通ネットワークを構築するという前提に立つと、それとは異なった車両が求められる。単純に新車に置き換えるのではなく、もっと高性能で直通機能を付加した方がなにかといいといいと考えられるからだ。
ハートラムは、アルナ車両のリトルダンサーシリーズの「タイプL」に属するが、シリーズの中で、最も試作車的な存在が強い車両である。大きな欠点はないものの、車体長のわりには、構造上の関係で座席が少ない(28名 在来車両200形は32名)ことや、中間のC車は、車軸の関係で中央部がスロープで盛り上がっているなど改善の余地が多いことも確かだ。この部分を独立車輪にする手もあるが、高速運転をする上ではネックになってしまう。1編成しか増備されなかったこともあるが、17mという車体長が中途半端であるのが試作車的な要素を強めていると思われる。
しかし、増備するにあたっては、アルナ車両のリトルダンサーシリーズが最も適当である。これまでもアルナ車両と取引で実績があり、何よりハートラム導入の実績は大きい。また、広島電鉄初の超低床車両グリーンムーバー5000形に採用されたシーメンスのコンビーノシリーズなど海外メーカー製は、低床化に伴い車軸のない独立車輪など特殊な構造が多く、そのため、整備面でも不都合なことが多いと聞く。一方、リトルダンサーシリーズは、従来型の車軸付きの車輪を用い、台車も従来型を踏襲しているため、安定した走行が確保できるし、整備においても有利である。機器類もすべて日本製で、この点からも最も有力な導入候補である。他に国産では、新潟トランシスか近畿車輛・三菱重工業・東洋電機製造が合同で開発した広島電鉄グリーンムーバーMAXしかないが・・・。
(広島電鉄グリーンムーバー5000形 広島路面電車図鑑より)
長崎電気軌道のタイプU(3000形)や函館市電のタイプC2(9600形)は、よく出来ているが、どちらかと言えば標準軌向きであり、狭軌の土電で導入すると通路幅が狭くなってしまう。また、モーターの装架方式が特殊であり、整備面ではややマイナスだ。伊予鉄のタイプS(2100形)、最も従来車に近い構造だが、車体を長くとれず(土電200形などと同様の12m)収容力が小さい、台車を車体端部にギリギリまで寄せている関係で、車幅が狭くなってしまうなどの難点がある。
(長崎電気軌道3000形 広島路面電車図鑑より)
(伊予鉄道2100形 広島路面電車図鑑より)
(函館市交通局9600形 railf.jpより)
そんな中で、導入候補として俄然浮上するのが、鹿児島市交通局の1000形で導入実績のある「タイプA3」である。車体構造は、両端の台車のある短い車体が、中間の長いフローティング車体を挟み込む形となっている。様々な面で、最もバランスが取れており、その発展改良型を導入するのが最も望ましいと考えられる。
(鹿児島市交通局1000形ユートラム 路面電車と鉄道の写真館より)
台車や駆動方式は特殊な部分が少なく、従来型とほぼ同じ構造であり整備面でも有利である。車体長も在来車両よりわずかに長い14mで、その面でも整合性がとれる点も、大きな利点である。また、タイプSと違い、カーブで内側への偏移を抑えることができるので車体幅もとれる。さらに、標準軌であろうが狭軌であろうが、客室や運転台の構造には全く影響のないことも大きい。中間車は、フローティングで車輪がないため、タイヤハウスなどの出っ張りもないので、完全にフラットでシンプルな客室を実現できる。鹿児島市交通局1000形では、前後のドアの間(初期車の場合)に12名分のロングシートを配置した構成で、超低床車の中では、最も在来車両に近い。

(鹿児島市交通局1000形の車内の様子 超低床車ながらそれを全く感じさせない Wikipediaより)
ここまで、タイプA3にこだわって提案している理由は、新型の超低床車も、ごめん・なはり線などの鉄道線に直通可能な仕様とすることを前提としているからだ。そのためには、高速運転での安定性と、適度な収容力や居住性が求められる。それでいて、他の在来車両と混じって運用できる汎用性の高さを求めると、A3タイプが最もバランスが優れている。
具体的な仕様は、まず走行性能や保守整備面を考慮して、直通運転のフラッグシップ的存在の3000形と機器類を共通化したものにするとよい。台車、モーター、制御装置、空調装置などは、3000形と同じものを用いるようにし、走行性能も最高運転速度以外は同等とする。(加速度3.5km/h/s、最高速度100km/h) また、旅客需要に応じて増結が可能なように、連結器も備え3000形とも連結運転が可能とする。ただし、いくら台車などに従来方式を踏襲していると言っても、屋根上に機器類を多く載せているので重心がやや高くなる関係で、3000形と同じ最高速度120km/hは無理であるしその必要性も薄い。最高速度は100km/hに抑える。全長は、1m延ばして15mとした方が、座席定員を4名多くとることができるので、その方がよいだろう。
鹿児島市電1000形と違う部分は、複電圧対応、連結器を装備、保安装置を搭載というところである。車輪径も高速運転を可能とするためにやや大きく(路面電車標準の660mmでなく、3000形と同様の760mm)になるだろう。連結器を装備する以上、前面デザインも自ずと1000形とは印象の異なったものになるであろう。
ただ、鹿児島市交通局では、車内の段差は危険として両端の車体に座席を設けていないが、中間車体の24名分のロングシート(この車両の場合はロングシート主体がいい)だけでは座席定員が少ないように思える。ここにも設けると良い。乗務員室の背後に2人掛けのクロスシートを左右に2組、前後で計4組で8名分用意できる。そうすると座席定員32名で200形と同一になる。車体を延ばしたら4名増で36名となる。トイレは近距離用ということもあって装備する必要はない。
形式は、あくまでも土電線内の車両としてまた、かつてのカルダン高性能車500形501号の遺志を受け継ぐ意味でも、3桁形式の中でで空いている「500形」としよう。
想定する運用は、(空港線をつくるならば)高知龍馬空港~はりまや橋~朝倉・JR伊野を結ぶ各駅停車が中心となろう。そうでなくても、後免町発着便に優先的に投入することになろう。その場合は、2両編成を基本とし、早朝や深夜に単行で、ラッシュ時や多客期には3~4両編成で運行すればよい。他にも、ラッシュ時に野市や夜須発着の準急や各駅停車で、500形同士または3000形と連結して運行するなどの使い方も考えられる。ごく一部は、安芸や須崎まで走ることになろう。本格的に広域で直通運用をこなす3000形、主に路面電車運用を少し延長した形で直通する500形と棲み分けが可能である。
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コメント
鹿児島の黄色い電車、ユートラムっていうのはかっこえいですね。
函館のやつもえい。
結構、全国にあるがですね。
そういうことをまず自分とかは知らんですきねぇ。
普通の人に電車に興味を持ってもらうには
どうしたらえいでしょうかね?
やっぱり本ですかね。
投稿 ナカちゃん | 2008年1月28日 (月) 22時39分
■ナカちゃん
車両も大きなキーポイントです。乗客にとって最も目に触れる部分です。乗ってみたくなるような魅力的な外観デザイン、インテリアデザインを備えていれば、普通の人も電車に興味を持ってもらえると思いますね。それはバスも同様です。
いい例が、500系のぞみでしょう。
投稿 やっしー@管理人 | 2008年2月20日 (水) 11時43分