高知から持続可能な交通を実現する(25) 「空港アクセス鉄道の実現性を再考する」
ごめん・なはり線から分岐して高知龍馬空港に至る鉄道路線は、開通前に検討されたことがある。高知県企画振興部が既に事業調査報告書を県議会に提出しており、建設費は約92億円と試算されているようだ。建設延長3.1kmで、1日利用客数を1370人と想定して、開業30年目で累積赤字が90~105億円とのこと。つまりは、営業自体はトントンであると想定されているものの、建設費償還まではできないだろういうことで話は前に進んでいない。
(坂本誠の方丈然草子より)
しかし、これは是非ともあった方がよい路線である。私の提案は、新たな設備の供給ではなく、既存の設備を改良することを原則としているが、例外的に新たな路線建設についての提案だ。これは、基幹交通としてのネットワーク性や観光活性化やクルマ利用からの大幅な転換などを考えると、大いにメリットはあると考えられる。
それは、高知龍馬空港が高知における空の玄関であるということが一つで、空港から市内に鉄道でアクセス出来るとなれば高知県訪問者にもいい印象をもたらすし、高知を海外にも売り出すならばむしろ必須と言ってもよい。何より、空港からのアクセス列車が十分に出ていると外来者にも「高知は鉄道をはじめ公共交通が使いやすいんだ」という印象をもたらす。
(高知龍馬空港ターミナルビル)
ただし、私の案は既成の計画案とはかなり異なっている。既成案では、幡多方面からのの特急列車や土讃線の直通列車を運行することを想定しているとだろうが、それではなかなか利用されないと思う。なぜなら、土讃線に乗り入れて高知駅発着では高知の市街地から離れていてやはり不便であること、単線なので本数が少なくそれも不便であることが大きな欠点だからだ。おそらく1時間に1本程度を計画していたのであろう。それでは、最寄の高知大学の学生も含めて利用者はそれほど見込めないだろう。
反面、私の考えでは、原則的にライトレール方式で土佐電鉄に直通運転することを提案している。それならば、高知の中心市街地の直通し、中心市街地では小まめに停車するので利便性はかなり高い。それでいて、高知から持続可能な交通を実現する(18)で取り上げたように、急行運転では空港~はりまや橋を20分で運行することが可能になろう。空港~鏡川橋でも30分ほどである。各駅停車で運行しても空港~はりまや橋を35分ほどになり、現在の空港連絡バスとほぼ同じだ。
このように土電直通の方が実質的に多くの人にとって所要時間は短縮し、さらにその間のニーズ(空港利用者以外のニーズ)にも応えられるなど合理的な運行が可能になる。特に、今までのタクシー利用や送迎から大きくシフトすると考えられる。
なお、JR規格の車両による運用は、朝夕や団体列車等に限るとする。例えば、朝ラッシュ時にJR四国7000系電車を使用した高知龍馬空港発高知行(場合によっては須崎行などもあり得る)なんてのが1~2本程度はあってよい。
インフラの建設案にいこう。まずは、後免町~立田間はもう1本線路を増やす必要があろう。ごめん・なはり線の安芸方面も1時間4本以上、空港直通も1時間3~4本を運行すると、その区間が単線のままではきつい。ただ、通常の複線ではなく、単線が並列した複線にする方がよい。それは、立田で単線⇔複線が変わるので、安芸方面の快速や急行がそこでスピードを落とさざるを得ないこと、後免町でも線路が交錯し立田でも分岐となったら配線が複雑になることも一つである。要するに、ごめん・なはり線と空港線の分岐は後免町駅とし、立田まではそれを並行させるだけということだ。
そして、立田を過ぎたら右へカーブしながら地上に降ろす。県道を踏切で渡ってすぐに列車交換可能な信号上を設けるとよい。柔軟なダイヤ編成を可能にするためである。そこから、高知大学農学部駅までは、建設費を縮減するため地上線で建設すべき。国道55号との交差はアンダーパスにするとよいだろう。高知大学農学部駅をキャンパスの西端に設け、そこから空港までは地下線にし、高知龍馬空港駅は、ターミナルビルに直角になるように地下ホームを設けるとよい。宿毛駅のような終端の2線構造(ただし地下)とし、中央に土電との直通車両用の低床ホームを島式で、両端にJR規格の車両に対応したホームを相対式で整備するとする。
空港駅の改札口を出て階段を上ったらすぐにチケットロビーに、反対に到着ロビーから階段を下りたらすぐに空港駅の改札口と極めて利便性の高い駅構造になる。羽田空港の京浜急行線の乗り場よりも格段に利便性は高くなるのは間違いない。
(おそらくごめん・なはり線本線と分かれるであろう地点)
(国道55号の北側 この辺に信号場を設けるべき)

(国道55号の橋でないような橋 この下を通すとコスト縮減になる?)
(高知大学農学部の西側)
具体的な運行案に入る。これがもっとも重要な話であり、インフラ整備はそのための基礎条件に過ぎないからだ。ごめん・なはり線の安芸方面の運行ダイヤも考慮して組む必要がある。
私の提案では、ごめん・なはり線安芸方面の基本的なダイヤは1時間4本にすべきと書いてきた。その内、1本は岡山方面の南風に接続をとり、また現行の車両も活用する観点から9640形による奈半利~高知間で快速運行する。ただ、2~3両での運行し高知~後免では布師田、薊野は通過するダイヤを組むようにしたらよいと思うが。その時、その快速列車に対応して後免町ではりまや橋方面と接続する急行(後免町~知寄町ノンストップ)を設定すべきだ。それを高知龍馬空港発着の急行電車(空港~高知市内は「急行」と名乗る)として1時間に1本運行する。先ほども書いたように、空港~はりまや橋を20分で運行すべきだ。それは、鏡川橋を抜けてさらに土讃線に直通するとしたら俄然、高知県西部地域とを結ぶ快速列車(JR線なので「快速」とする)として中村方面まで運行する意義が出てくる。
現在、高知駅より西側は特急列車は2時間に1本の運転である。その間を埋める快速列車としてこのような運行は十分意義があることであろう。つまり幡多方面へは1時間ごとに岡山(一部は高松)発着の特急列車と高知龍馬空港発着の快速を交互に運転することを提案しているのである。特急列車が中村・宿毛まで直通する場合は、JR朝倉駅またはJR伊野駅で空港発着の急行電車と接続をとり、急行電車(市内~土讃線・中村線は「快速」と名乗る)が中村まで直通する場合は、高知止まりの特急列車をJR朝倉駅またはJR伊野駅まで各駅停車として延長し接続をとるようにするわけだ。
下の路線図で、土佐電鉄線からの直通電車を中村まで直通させている真髄はこの空港アクセス列車にあるのである。それ以外にももう一つ半分冗談かと思うようなアイデアもあるがまた後に取り上げる予定でいる。そうでないならば土佐電鉄線からの直通は須崎までで十分だ。その快速列車にも愛称を与えよう。JR西日本の「みやこ路快速」「紀州路快速」「大和路快速」などにならって「土佐路快速」と名づけよう。
例えば、朝最も早い7:10に離陸する羽田空港行と伊丹空港行に接続する中村からの土佐路快速はこのようになるだろう。
《土佐路快速2号》 中村発高知龍馬空港行
中村 4:15
土佐入野 4:22
土佐上川口 4:30
土佐佐賀 4:38
窪川 4:55
仁井田 5:00
土佐久礼 5:12
須崎 5:21
多ノ郷 5:26
佐川 5:35
日下 5:43
JR伊野 5:49
JR朝倉 5:55
上本宮町 5:57
鏡川橋 5:59
(この間は各駅停車)
はりまや橋 6:15
(この間は各駅停車)
知寄町 6:21
後免町 6:30
高知大学農学部 6:34
高知龍馬空港 6:35
ただ、特急よりも停車駅が多く、高知市内は路面電車として走るために中村~はりまや橋で2時間かかってはいるが、これは現行の特急よりも15~20分ほど遅いくらいである。このダイヤならば幡多方面から朝一番の飛行機に乗る人、朝早くから幡多方面から高知市内に行く人、高知市内から朝一番の飛行機に乗る人などの様々なニーズに応えることができる。
その急行(土讃線直通は先ほど言ったように高知市内以西は快速)以外の便も、準急などの優等種別にしたいとろこだが、安芸方面へ急行が1時間当たり1本(空港発着の急行を含めたら2本)、準急が2本と走る中で、さらに急行や準急を走らせると各駅停車を運行する余地がなくなってしまう。それでは、間の電停での利用客が現状よりも不便になってしまいまずいことになる。
よって、後免町発着の各駅停車を1時間当たり2~3本、空港発着にして対応するといいだろう。それでも後免町~知寄町を高速化改良する前提なので空港~はりまや橋では約35分で結ぶことが可能になる。先ほども述べたように、現行の空港連絡バスとほぼ同じである。そして渋滞がないので時間は正確だ。
(土佐電ドリームサービスの空港連絡バス)
以上のように空港アクセス鉄道ができると、高知の交通地図は随分と塗り替えられる。そして、空港からアクセスが不便な高知県東部地域へも行きやすくなる。東部へは空港から直通はしないが、後免町で降りてしばらく待てば安芸行や奈半利行がやって来るわけであるから。まさに、羽田空港にアクセスしている京浜急行のように便利な鉄道が実現可能になるだろう。またバスはなんとなく頼りないと思って送迎などに頼っている空港利用客も、鉄道利用に大きくシフトする可能性がある。そもそも、空港アクセス鉄道が完成したら現在の空港バスは廃止すべき。
(高知龍馬空港出発口)
《参考サイト》
(坂本誠の方丈然草子)
高知空港2500m化に思う 2004年2月20日
高知龍馬空港 2004年3月5日
高知空港のオフィシャルページ 2004年3月5日
高知空港発朝倉行連絡バス 2004年4月9日
高知駅前観光の空港連絡バスに思うこと 2004年6月12日
四国西南空港よりも、高知空港へのアクセス改善を 2004年7月4日
すぐにでもできる高知空港アクセス改善案(高知空港~後免町間連絡バスの改善案) 2004年7月4日
高知県庁に投稿してみた 2004年7月9日
「高知空港~後免町間連絡バスの改善案」に対する県庁の回答 2004年7月24日
後免駅前に行ってきました(「高知空港~後免町間連絡バスの改善案」をめぐって) 2004年8月2日
中村―高知空港バス 9月15日で廃止 2004年8月25日
意外な前進(「高知空港~後免町間連絡バスの改善案」をめぐって) 2004年8月25日
高知空港連絡バス(高知空港~朝倉)の時刻表を作成しました 2004年9月16日
(坂本誠醸造所)
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