高知から持続可能な交通を実現する(9) 「安芸線バスの今後」
高知から持続可能な交通を実現する(6)でも取り上げた、土佐電ドリームサービスの安芸線バス。本日、高知新聞で、当面の間は存続という記事が出ていた。
土電バス安芸線は存続 値上げ来年3月めど
http://203.139.202.230/?&nwSrl=219599&nwIW=1&nwVt=knd
記事内容によると、来年3月を目処に「運行系統を統合」、「減便」、「普通運賃を8%値上げ」など、一部の運行内容が変更される予定である。とりあえずは、存続が決まってよかったと思う。
私も、かつては無駄な競合だからやめるべきと言っていた。それは、私がごめん・なはり線が開通してからは安芸線バスには2回くらいしか乗っていないこと、すなわち、遅くて不便で、乗客も減ってしまいもう用済みだと個人的に思い込んでいたことも否めない。また、これも個人的なことであるが、昔から乗り物酔いが激しく今でもバスに乗るとちょっと気持ち悪くなることもある。一方で、列車では1回しか酔った覚えがない。その酔った列車というのは、酔うことで有名な自然式振り子電車の381系であるが・・・。バスを心理的に避けている面が少しあるのは確かだ。
現状でも、県立安芸中・高への通学に使う生徒はたくさんいるし、高齢者の方には、なはり線の駅は遠いので、バスの方が便利だという人も多い。特に、安芸中・高への通学は、なはり線だと安芸駅から遠く不便だ。バスだと、最寄のバス停(商工会議所前)で降りて100mも歩けばすぐ。バスはバスで十分利用価値がある。安易に廃止すればいいというものでは決してない。
けれども、存続が決まってめでたしめでたしだけではまずい。当面であるのでこのままではいつまで続くか分からない。根本的な利用増対策が示せてないので、いずれは廃止になりかねない。とりあえず、廃止を撤回したからには、なはり線もバスも活性化を促す提言をしていきたいと思う。
この問題の大きなところは、公共交通機関をそれぞれの事業者ごとでバラバラに考えることに限界が生じていることにある。あいかわらず、なはり線とバスの対立構造である。それで、少ない客の奪い合いという形になっている。そうではなく、お互いの長所を生かしながら協調していくことが求められる。全く別次元のものではなく、運賃体系や運行体系も提携していくべきだ。
例えば、なはり線の駅に対応する最寄のバス停では、指定バス停ということで、相互に乗り換え可能とする。例えば、夜須駅で降りて、そこから夜須バス停でバスに乗り換えて住吉バス停で降りても通し料金で利用可能な仕組みを整える。それは、後免町~安芸では、よしかわ駅以外は指定可能だ。
次に、列車とバスをスムーズに乗り継げるようなダイヤを組むことだ。(6)では、「なはり線の列車とバスを緩急接続したダイヤを組むのは不可能だ。駅とバス停も離れているし。ダイヤ上はバスは独立運行せざるを得ない。」と、書いたが少しは接続を考えるほうがよさそうだ。本当に、あまり待つことなく乗り換え可能にするには、それこそバスを10分に1本以上走らせる必要が出てくる。理想ではあるが、公共交通の役割を向上させる過渡期にはちと厳しいだろう。
そこで妥協案として、特定の駅で極力接続を考慮することだ。その特定の駅とは、後免町駅と安芸駅の他には、のいち駅、夜須駅、和食駅が妥当だろう。本数の少ない中では、列車の接続待ちをするために、例えば夜須駅前で10分ほど待機ということも出てくるだろう。しかし、バスは先を急ぐ交通手段ではなく、鉄道で満たせない部分を補完するという位置付けであるならば、それは問題ない。もちろん、安芸市内では、安芸駅での接続だけでなく、立派な市街地内の交通手段にもなりうる。当然だが、列車、バスともに接続案内はすべきだ。高知方面から夜須駅に到着するとき「住吉、長谷寄方面のバス路線は到着後すぐに接続しております。次は和食駅で接続便がございます。」という感じに。ただ、問題は、和食駅が国道と離れていることだが、旧道にバス路線をルート変更して和食駅前に乗り入れるか・・・。難しい検討課題だ。
あと、高知市内まで走る必要はない。後免町発着で十分。なはり線の駅間を補完する役割ならそれで十分なはずだ。後免町発着だと、同じ人員と車両数でも、後免町~安芸間の本数が多く確保できる。高知市内へは、路面電車に乗り換えてもらう方が合理的だし、シンプルで分かりやすい。こちらはいくら途中からバイパスを走ると言っても、ただの重複でしかない。これこそ、グループ会社同士なので接続を確保し通し運賃にすることは容易なはずであるが。
ただし、これらのことを実現するには、今までのバラバラな運営では不可能である。高知県交通局をつくり各事業者を取りまとめて運行調整することや、共通運賃制や広域使用可能な定額のパス、充実したダイヤ、情報提供などをしっかり取り組んでこそごめん・なはり線も安芸線バスも真の公共交通機関としての意義が出てくる。安芸線バスは、定額パスが普及すれば短距離でも気軽に利用される生活路線としての性質も持っている。いずれにせよ、公共交通の利便性が向上するには、クルマの利用を今より減らし、もっと身近にならなけらばならない。どんな方式でやるにせよ、市民が支持することが最も大事なことである。
最後に、某BBSのいかにも私が立てたようなスレは、まぎれもなく私が立てたものだ。どんな展開になるか実験ということでまずつくってみて、静観していたが、予想通り放置プレイ状態になっている。他にも公共交通関連のスレッドがあったようだが、これも全然盛り上がっていない。如実に、まだまだ都市交通問題は県民にとってマイナーな関心事だというあらわれか。
<参考記事(高知新聞)>
土電バス「安芸線」10月にも廃止 2007年5月24日
http://203.139.202.230/?&nwSrl=213762&nwIW=1&nwVt=knd
土電バス安芸線残して 県立安芸中高生71人利用 2007年5月30日
http://203.139.202.230/?&nwSrl=213966&nwIW=1&nwVt=knd
土電バス 安芸線存廃ヤマ場 2007年10月28日
http://203.139.202.230/?&nwSrl=219478&nwIW=1&nwVt=knd
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コメント
交通問題や車の問題、移動交通問題は身近な問題ですが、あまり考えていなかった問題でしょう。40年前は車に庶民が乗れることが夢でしたし。
いのの父の家など地主が車を購入する為に急いで土地を売ったいきさつだと聞きました。
そして家を建てるとき大工さんが「車庫は必要だろう」と言っても当時の父は「車へ乗る身分ではないから不用である、」と答えつくりませんでしたし。
それが高齢になった今は毎日車なしでは用事が足せないようになっていますし。
でもこれもゆり戻しがあるでしょう。交通問題はBBSで放置されてというよりも県政の課題としても重要とされませんでした。県民の関心も低いと思います。
やっしーさんが夏ごろから1石を投じたことは間違いないでしょう。すぐには波紋は広がりませんが、しつこく確実に事例を発表していただくことに期待しています。
投稿 けんちゃん | 2007年11月 3日 (土) 09時23分
>けんちゃんさん
モータリゼーション黎明期は、誰にとってもマイカーは憧れだったのでしょう。
どこへでもいける夢のような乗り物で、持つこと自体もステータスだったのでしょう。
しかし、今は同じ自動車でも認識が大きく異なっています。生活必需品になり、むしろ「自動車がないと生活できない」というふうに、ネガティブに捉えられることも多いです。
高知では企業が相次いで倒産し失業者も溢れ、ガソリン代も上がっています。そんな中、自動車を維持するのも大変でしょう。
そこで、公共交通が格安で利用できることは、県民にとって救世主になるかもしれません。
投稿 やっしー@管理人 | 2007年11月 3日 (土) 23時28分