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書籍紹介(16) 『ファスト風土化する日本』

『ファスト風土化する日本―郊外化とその病理』
(三浦展著 2004年9月洋泉社新書)

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内容(「BOOK」データベースより)
のどかな地方は幻想でしかない!地方はいまや固有の地域性が消滅し、大型ショッピングセンター、コンビニ、ファミレス、カラオケボックス、パチンコ店などが建ち並ぶ、全国一律の「ファスト風土」的大衆消費社会となった。このファスト風土化が、昔からのコミュニティや街並みを崩壊させ、人々の生活、家族のあり方、人間関係のあり方もことごとく変質させ、ひいては人々の心をも変容させたのではないか。昨今、地方で頻発する不可解な犯罪の現場をフィールドワークしつつ、情報社会化・階級社会化の波にさらされる地方の実情を社会調査をもとに探り、ファスト風土化がもたらす現代日本の病理を解き明かす。

[管理人レビュー]

『脱ファスト風土宣言』、『下流社会』、『下流同盟』の原点となる作品。久しぶりに読み返してみた。

「ファスト風土」とは、「ファストフード」をもじった三浦氏の造語である。
いまや地方都市の幹線道路を走ると、旧市街の外れに現れる、巨大ショッピングセンター、ファストフード店、紳士服、サラ金、パチンコ、カラオケ、ファミレス、ラブホ、果ては温泉まで・・・。
本当に、ファストフードの全国一律のサービスみたく、同じような風景が青森でも栃木でも高知でも見られる。
(私は自転車であちこち走ってきたが、これでは何のために旅してるか分からなくなってくるほどだ。今では、出来る限り、旧道を走るようにしている。)

それに引き換え、古くからあった個人経営主体の商店街は壊滅状態に。地域コミュニティは崩され、家族も専ら消費共同体に変貌し、若者の無気力にもつながったという。のどかな地方では考えられないような犯罪の多発についても言及されている。

郊外化の進展により、地域が均質化、画一化、匿名化、流動化がしてしまい、単なるモノの消費に頼る生活を続けるリアリティの欠如こそが、ファスト風土化の真髄だと思う。人間味を欠いた機械のような空間やライフスタイルを強いられるのが豊かな社会だとは到底思えない。
そういう意味では、歴史や風土、人々の生活から乖離した薄っぺらい社会に落ちぶれたと感じざるを得ない。街には、もっといろんな意味、要素があったはずだ。

しかし、この問題のややこしくしているのは、実際にファスト風土を享受している地域住民の意識だろう。「クルマ利用に便利で、値段も安くていいことばかりだ」と言う意見も多く聞かれる。それを否定はしないが、要するにそういう人は、郊外ライフスタイルを謳歌しているつもりが実は、「ファスト風土に利用され搾取されている」と思う。
それは、漫画「ドラゴン桜」ともつながってくる箇所が多いように思える。
”働かずに金を得ることを当然視する退廃的な価値観の蔓延だ。生きる意味の喪失だ。”
”彼らはもう働く意欲がない。楽をして、適当に生きることしか考えない。”(p178より)

Noichiminami
ファスト風土な景観(高知県香南市野市町)

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