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走るんです 使い捨てられる自転車たち

「走るんです」って聞いてまず何を思い浮かべるだろうか?

鉄分の濃い人ならば、「ああ、あのJR東の通勤電車のことね。」って思うだろう。

あまり、存じ上げない方々にちょっとだけご説明しましょう。(あんまり詳しくなるとどつぼにはまるので・・・)

JR東日本が、導入した209系、E217系、E231系、701系などの一連の通勤電車の俗称である。とくに、1992年に京浜東北線で登場した209系は「価格半分・重さ半分・電力半分・寿命半分」のコンセプトを掲げ、世間に大きな衝撃を与えた。従来の、鉄道車両の設計思想と大きく異なるからだ。

寿命半分というのは誤解を招きやすいが、必ず通常の使用期間の半分で廃棄するというわけではなく、「通常よりも半分の使用で廃棄しても経営の上で問題がない」ということである。13年程度経過したときに、継続使用か廃棄か選択の余地があり、柔軟性がある車両使用計画が可能になる。

だが、価格半分というのが納得できるくらいの安普請な車両であることは否めない。とくに内装。それに、経年劣化と共に、ステンレスの外版が波打ってきているし・・・・。コンセプトと実態が一致したためか、当時流行していた「使い捨てレンズつきフィルム」の商品名をとって、「使い捨て電車」や「走るんです」と一部の人の間で呼ばれるようになった。さらには、「プレハブ電車」などとも。

最近の車両(E231系、E531系、E233系など)は、流れは汲んでいるものの、かなりの改善は見られ、209系のような安普請では決してなくなっている。

いや、手短に済まそうかと思ったが、長くなってスマン。

ここで言いたいのは、自転車の話だ。

自転車の世界でも「使い捨て自転車」「走るんです」と呼べるような代物が存在する。

スーパーやホームセンターの軒先で、もしくは折り込み広告で「婦人車 9800円」という風なプライスタグを見たことあるだろう。安いのでとびつく人も多いが、この類の自転車を「走るんです」と私は、呼んでいる。こちらこそ、真の意味で「走るんです」だと思っているが、その訳も後述。

下の写真を見ていただきたい。これは、実家にある自転車で、祖母が買い物などに使用している。以前使っていた自転車が10年経過して老朽化したので買い換えたものである。スーパーかどこかで6800円で購入したそうだ。この写真は、購入から約1年経過したころである。一見、普通のママチャリに見えるが・・・。

Img_5849

とにかく、安い!日ごろ、スーパーの安売りに目を光らせている人ほど、この類の自転車を買ってしまうのではないだろうか?

さて、何が問題なのか。この類の自転車は、中国などからの輸入品であることがほんんどだ。中国の安い人件費で製造していると言っても、ここまでコストダウンを実現するために随所で手抜きをしている。すわなち、著しく品質の低い「粗悪自転車」なのである。

まず、重量が重い

スポーツ自転車の世界では(特にロードバイク)いかに軽く作るかということがほぼ至上命題であり、MTBやクロスバイクでも10kg~14kgが標準的だ。ママチャリでもそのレベルまで軽量化を実現したモデルもある。だが、この類の自転車は、安さ優先なのでそんなことは3の次で、20kg以上と凄まじく重い。

次に、精度の問題

フレーム等のゆがみは、製造時からかなり酷いものもあるらしく、芯の通った走りとは程遠い。どこか、力がロスしているようななんとも違和感たっぷりの感覚だ。

3番目に、耐久性の問題

フレームなどに使用している鉄鋼の品質も低いが、接合部分が完全に手抜きなことも多い。実際に、走行中にフレームが折れて怪我した人もいる。

4番目に、錆びる

下の写真のように荷台やシートポスト、ハブなどが完全に茶色になっている。買ったときは、綺麗な銀色だったのに・・・。購入時は、一見したらステンレスやアルミにも見えなくない。私が見たら一発で違うと分かるけどね。コストダウンのためそんな材質を使うわけなく、ただのメッキで、風雨にさらそうものなら凄まじい勢いで錆びてしまう。いや、洗車してもほとんど防げない。もはや対策は、塗装するしかない。さらに、ネジが錆びるともう分解を伴うメンテナンスは困難になる。

Img_5850 Img_5851

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さらに、チューブ、タイヤ、ネジ1本に至るまで粗悪品。ホームセンター等での組み付けや調整もいい加減で、これも低品質化に拍車をかけている。まさに、

「価格半分未満、重量1.5倍、寿命半分未満、安全性半分」

の劣悪な使い捨て自転車なのである。電車の場合は、整備はしっかりしているが、この類の自転車はほとんど乗りっぱなしの人が多い。そして1年2年と経ち、不具合が多くなると買い替え。また、激安粗悪自転車に乗る。

これこそが、真の意味で、

「使い捨て自転車 走るんです」

ではないか。電車よりもそう呼ぶに相応しいと思うんだが・・・・。

これには、当然ユーザー側にも問題がある。そこまで、自転車に安さしか求めていないということだ。私も、街に溢れる自転車を観察していて、だいたい分かったことは、自転車に対して「性能」と「快適性」を全然求めていないということである。漠然と自転車を購入し漠然と乗っている。サドルもべったり低く、チェーンも錆び錆び・・・・・・・。

あまりにも、自転車に関する無知というかなんかが、このような結果をもたらしている。自転車が必要になると、(専門店の存在を知らないので)とりあえずホームセンターに行って、価格を考慮し、ちょっとだけデザインも勘案して、他の店を回ることなく即決。ホームセンターもこのような客の心理にうまくつけこんでいる。確かに、商売上手ではある。

怖いところは、こんな粗悪自転車でも、ユーザーがこれで十分だと納得しているところである。こんな自転車でも、これしか知らないから「こんなものか」と思ってしまう。だが、長期的に見ると自転車のイメージを、ママチャリの世界に閉じ込めてしまうことになるのではないか?

確かに、ママチャリとして低速・短距離の乗り物として使用するならば、これでも問題はない。だが、この自転車のおかげでもうご近所の垣根を越えて進出することは絶望的になってしまう。まだ、様々な自転車の存在も知ったうえで、短距離限定用途車としてこの類の自転車を購入するのなら全然問題ない。だが、このような自転車の存在しか把握せずに、漠然と乗り続け、自転車をご近所オンリーの乗り物に陥れてしまうのはどうかと。

悲しいことに、このような自転車が蔓延した原因の一つには盗難の問題がある。「盗まれたから、急遽8000円で自転車を買った。」「どうせ、いつか盗まれるから高い自転車を買ってもムダ。」確かに、こればっかりは仕方ないと思う。想定外の出費だから。

「安い自転車が増加」⇒「盗むことの罪の意識の低下」⇒「盗難の増加」⇒「さらに安物自転車の増加」⇒(繰り返し)

完全に、負のスパイラルにはまっている。

所詮低価格の自転車。1年2年で不具合が生じると、すぐに捨てられる。もちろん粗大ゴミとして引き取られるものも多いが、駅前やスーパーの駐輪場に乗り捨てられ朽ち果てる。筑波大学でも卒業するときに、乗り捨てられて自転車が宿舎やアパートに溢れている。それらの処分費用は、大学や不動産会社などに圧し掛かっている。多くの自治体でも自転車1台の処分費用は、1万円以上するそうだ。結局、高コスト自転車ではないか。自転車は安くなったけど税金は高くなりましたでは、大いに馬鹿らしい話だ。

さらに、ライフサイクルが短いということは、それだけ製造や運搬、廃棄にかかるエネルギーが必要になるということだ。余計に、鉄鉱石や石油を掘り出さなければならない。自転車のエコロジーな側面も半減してしまう。

自転車の低価格傾向に歯止めをかけるには、多くの人に本当は10km~15kmくらいなら快適に移動できる乗り物であることを気づいてもらうしかないと思っている。その距離で粗悪自転車に乗ることはほとんど拷問だから。使用範囲、使用機会がちょっぴり拡大しただけでも、自分の体格にあった、ある程度の品質を備え、デザイン面でも納得のいく自転車が欲しくなるものだ。

この安物自転車の負のスパイラルを断ち切るには、まず、盗難対策を強化し、このような自転車を買わないようにと言い、一定上の品質の自転車を多くの方に認知してもらいうことだ。
最も大事なことは、最低限のメンテナンスをするという習慣を身に着けることだろう。

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コメント

長期的に見ると自転車のイメージを、「ママチャリ」の世界に閉じ込めてしまうことになるのではないか?

という言い方は他の意味に取る事もできると思います。
廉価自転車の問題を取り上げた流れの中での指摘ですので、
品質に問題のある廉価自転車が数多く普及する事で自転車の
品質に対する認識がゆがめられてしまう事を懸念されての発言
だとは思うのですが、ここで「品質に問題のある自転車」では
無く、「ママチャリ」としている為に、ママチャリが数多く普及する事で、
自転車に対する視野が狭くなる事を懸念している、
という意味にも取れるようになってしまっていると思います。

また「自転車をご近所オンリーの乗り物に陥れてしまう」
という一文については、全くの言いがかりだと思います。
近所オンリーではない種類の自転車に対して、ママチャリが
一体何の影響を及ぼしたと言うのでしょうか。
それに、長距離を走れなければ自転車として存在意義が無い
という事はありません。
せいぜい15km/hrの速度しか出なくとも、徒歩で1時間の距離を
20分で着く事ができるようになります。
もしもママチャリの存在が無ければ、今以上に原付バイクや
自動車の利用が増える事になるでしょう。
ママチャリにはママチャリの存在意義があります。
そのことは認めていただきたい。

>aさん
文章の書き方で誤解を与えてしまったかもしれませんが、ママチャリの存在意義を決して否定しているわけではありません。
ママチャリは、短距離では極めて快適に移動できるしある程度の荷物も積める。すぐれた自転車でと思います。
粗悪品については、ママチャリの元来の長所すらもスポイルしてしまうおそれがあるので批判的なんですが。

だが、多くの人はママチャリだけが自転車だと思ってしまい、ここで止まってしまっていることを懸念しているのです。普段漠然と乗っている方々は、ちゃんとしたクロスバイクについてさえなかなか、見聞きする情報がないと思います。漠然とホームセンターなどに行っても絶対にルイガノのクロスにすら出会えませんから・・・・。要するに、ママチャリしか知らないがために、その範囲に規定されてしまっていることから、少しづつでも突破できれば自転車文化もより充実したものになると思います。

そういう私も、中学生時代より自転車は好きでしたが、車種やメーカーのことはもちろん、自転車雑誌やプロショップの存在すらまったく知りませんでした。ただのシティサイクル(現在も現役)でよく満足できたと今では不思議に思うくらいです。

ママチャリが普及する事で自転車に対する認識が狭められるように感じるというのなら、
そう書くのも構わないと思います。
しかし、品質に問題のある自転車の話を途中からすりかえるような書き方はズルイと思います。
自転車にはいろいろな種類がありますし、それぞれに全く違う楽しみ方や使い方もあります。
それを多くの人に知らせたいと思うなら、それぞれの自転車の良さを言えば良いはずです。

自転車には色々な種類があります。
しかし私自身は、やはりママチャリが必要だと思います。

>aさん
 
おっしゃる通りですね。

ママチャリ以外の種類の自転車の情報が、もっと多くの人の目に触れる機会が多くなることに期待しています。自転車通勤が市民権を得てからというもの、ここ5年というもの大分変わってきました。

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